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2010/5/5

経済産業情報

スイス税関が音楽家からバイオリン押収、時価450万ユーロ

この記事の要約

世界的に有名なバイオリニストであるパトリシア・コパチンスカヤさんがバイオリンをスイスの税関に押収される事件が4月27日、起きた。28日になって返還されたものの、プロの音楽家から楽器を取り上げるという無神経な対応に対し批判 […]

世界的に有名なバイオリニストであるパトリシア・コパチンスカヤさんがバイオリンをスイスの税関に押収される事件が4月27日、起きた。28日になって返還されたものの、プロの音楽家から楽器を取り上げるという無神経な対応に対し批判の声が上がっている。

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コパチンスカヤさんはモルダビア出身のオーストリア人で、現在はスイスのベルンに住んでいる。27日にオランダのロッテルダムからスイス・チューリヒ空港にフライトした際、バイオリンを持っていることを税関に申告しなかったため、職員に押収された。

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バイオリンはバルトロメオ・ジュゼッペ・アントニオ・グァルネリが1741年に作製したもので、時価は450万ユーロ。コパチンスカヤさんはオーストリア国立銀行から4月上旬に貸与さたばかりだった。

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スイスの法律では、国外から帰国する同国在住の市民が300スイスフラン以上の物品を持っている場合、自己申告することを義務づけている。コパチンスカヤさんはこの規則に抵触。国内に持ち込むのであれば保証金40万フランを預けていくよう税関に要求されたものの、そんな大金は手元に持っていなかったため、押収の憂き目をみたわけである。税関職員は彼女がバイオリンを国内で売りさばく恐れがあると判断したという。

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バイオリンは結局、持ち主であるオーストリア国立銀行の専門家がウィーンからチューリヒまで出向いて取り戻した。同行はスイス税関当局の対応について「われわれは現在、バイオリンのコレクションを36本持ち、その多くを国際的な音楽家に貸与しているが、今回のような出来事は初めてだ」と不快感を表明した。コパチンスカヤさんに対しては引き続き貸与する意向を示している。

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彼女自身は今回の事件に大きなショックを受けたとのことで、コメントを一切出していない。

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