経営不振が続くスペインの自動車大手Seat(マルトレル)は今後5年以内に黒字転換を図る意向だ。モデル攻勢と販売市場の開拓を通して実現する考え。親会社の独Volkswagen(VW)からは同計画の承認を得ているという。Seatのジェームズ・ムーア社長が12日、ハンブルクで明らかにした。
\生産能力50万台の同社マルトレル工場の稼働率は現在、60%にとどまる。経営陣は主力の小型ハッチバック「Ibiza」に依存しすぎていることが大きな原因の1つとみており、今後はアンダーミドルクラス車「Leon」のモデル数を拡大。年間販売数を昨年の約8万台からIbizaと同じ20万台へと増やし、同工場の稼働率を90%に引き上げる意向だ。
\これまでスペイン、ポルトガル、ドイツにほぼ限られてきた販売市場も今後は英国、フランス、イタリアへと広げていく。特に大都市圏のディーラー網を強化する方針。
\ムーア社長は「(赤字続きの)Seatが存続しているのはVWグループがあるおかげだ」と述べ、経営の現状に厳しい判断を示した。赤字から脱却するにはコスト削減のほか、VWの支援が欠かせないとしており、モデル数の拡大などでもVWの資金援助を受けるもようだ。
\同社長はリストラの手腕を買われて昨年9月、マツダの欧州部門から引き抜かれSeat社長に就任した。
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