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2010/5/19

総合 - ドイツ経済ニュース

原発稼働延長めぐり与党内で論争再燃

この記事の要約

沈静化していた原子力発電所の稼働期間延長をめぐる与党内の論争が、再燃している。きっかけとなったのは9日に行われたノルトライン・ヴェストファーレン州議会選挙。この選挙で原発稼働延長を目指す与党のキリスト教民主同盟(CDU) […]

沈静化していた原子力発電所の稼働期間延長をめぐる与党内の論争が、再燃している。きっかけとなったのは9日に行われたノルトライン・ヴェストファーレン州議会選挙。この選挙で原発稼働延長を目指す与党のキリスト教民主同盟(CDU)と自由民主党(FDP)がともに大敗したことで、16州政府の代表からなる連邦参議院(上院)で与党の過半数割れが確定。同政策の実現が微妙になってきたため、稼働延長に積極的な政治家と消極的な政治家がそれぞれの主張を展開している。

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稼働延長をめぐる与党内の論争が最初に起きたのは今年2月。レットゲン環境相が原発は市民に受け入れられていないとして、延長期間は8年が上限だとの立場を表明すると、稼働延長期間をできる限り長くすることを目指すブリューデルレ経済相(自由民主党=FDP=)などが強く反発した。このときは原発を5年、10年、15年、20年間延長した場合の調査を実施することでレットゲン環境相とブリューデルレ経済相、ポファラ官房長官(CDU)が合意し手を打った。

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今回の論争ではポファラ官房長官などが連邦参議院の決議を経ずに稼働期間を延長できると主張するのに対し、レットゲン環境相は稼働延長のチャンス自体がほとんどなくなったとしている。

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官房長官は原発廃止を決めた2002年の原子力法改正の際に中道左派のシュレーダー政権(当時)が連邦参議院での審議・議決を回避するため、法案内容を調整した点を指摘。原発稼働延長でも同様の手法を使うことができるとしている。

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一方レットゲン環境相は、そうした手法で法案を可決したとしても、野党が違憲訴訟に持ち込むため、争いが長期化し電力会社が長期の事業計画を立てられなくなると主張。そのようなリスクが生じるのは好ましくないとの立場を示した。

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