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2010/5/19

経済産業情報

携帯電話で災害時の避難経路を表示=産学プロジェクト

この記事の要約

移動通信網を利用して、ビル火災やテロなどの大規模災害時に群衆を安全に避難させる産学協同プロジェクト(REPKA)がドイツで進められている。通信回線の切断、基地局の停電といったインフラ面でのトラブル時でも機能する通信技術を […]

移動通信網を利用して、ビル火災やテロなどの大規模災害時に群衆を安全に避難させる産学協同プロジェクト(REPKA)がドイツで進められている。通信回線の切断、基地局の停電といったインフラ面でのトラブル時でも機能する通信技術を確立するとともに、人の位置や移動状況、通行困難の場所をリアルタイムに把握し、携帯端末を通して最適な避難経路を表示・誘導できるようにすることが目標だ。

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研究プロジェクトはカイザースラウタンのサッカースタジアムを使って行われている。同スタジアムは山の上にあり、駐車場以外にこれといった場所がない。非常時には最大5万人の観客が一斉に駐車場を目指して逃げることになるが、先に逃げ出した人が駐車場にとどまっていれば後から逃げ出した人がスタジアムから外に出られなくなる恐れがある。また、敵対するフーリガン同士が駐車場で鉢合わせして暴動になる可能性もあり、こうした様々なリスクを踏まえて観客をスムーズに避難・誘導させることが課題となる。

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研究チームはサッカー場の観客の動きを収集・分析し、災害発生時にとりうる行動のシミュレーション試験を繰り返しながらシステム開発を進めている。最終的には、サッカー場という特定の場所に限定されない全ての大規模災害に通用するシステムを構築する考えだ。

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REPKAプロジェクトは連邦教育研究省(BMBF)が支援する「市民安全研究」プログラムの一環で、カイザースラウタン大学、フラウンホーファー集積回路技術研究所(IISB)、IT2メディア、シーメンスなどが参加している。

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