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2010/5/19

経済産業情報

広告検索ワードに競合の商標を「指定は可」=欧州裁

この記事の要約

検索エンジン最大手Googleの検索連動広告サービス「AdWords」の商標権侵害をめぐる係争で欧州司法裁判所(ECJ)は3月、広告主が競合企業の商標やその一部を検索広告用のキーワードに指定することは必ずしも商標権侵害に […]

検索エンジン最大手Googleの検索連動広告サービス「AdWords」の商標権侵害をめぐる係争で欧州司法裁判所(ECJ)は3月、広告主が競合企業の商標やその一部を検索広告用のキーワードに指定することは必ずしも商標権侵害に当たらないとの判断を示した(訴訟番号:C-91/09)。ドイツの最高裁である連邦司法裁判所(BGH)がEU指令と国内法で規定が異なるとしてECJの判断を仰いでいた。

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係争の発端は、独アダルトグッズ通販業者BBY Vertriebsgesellschaft mbHが「bananabay」という単語をAdwordsの検索キーワードとして登録したことだ。この単語は同業のオンライン販売業者eis.de GmbH(以下、eis.de)がすでにブランド名として商標登録していたため、eis.deは商標権で保護されたブランド名を許可なく検索ワードに指定したうえ、同様の商品やサービスの提供に利用することは商標権侵害に当たると訴えていた。これに対しBGHは、独商標法(Markengesetz)に照らせば侵害に当たるとしながらも、当時のEU指令(89/104/EWG第5条第1項)では判断する基準がやや異なるとして2009年1月、審理を中断しECJに判断を仰ぐことを決めた。

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ECJの裁判官は、当該のEU指令で商標権の侵害に当たるのは、平均的なインターネットユーザーが「(キーワードを登録した)広告主と商標権の保有者との間に経済的なつながりがあるかを認識できない」場合に限られると指摘。そのうえでBGHに対し、平均的なインターネットユーザーが「bananabay」の広告キーワードによってeis.deの商品・サービスをBBYのものと間違える可能性が高いかどうかを基準に判決を下すよう指示した。

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