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2010/6/2

経済産業情報

トンネル火災防止システム、欧州で受注増加の見通し

この記事の要約

欧州でトンネル火災防止システムの受注拡大が見込まれている。欧州連合(EU)が加盟国にトンネルの安全基準を2019年までに引き上げることを義務づけているためだ。これにより全長500メートル以上の全てのトンネルにはすべて火災 […]

欧州でトンネル火災防止システムの受注拡大が見込まれている。欧州連合(EU)が加盟国にトンネルの安全基準を2019年までに引き上げることを義務づけているためだ。これにより全長500メートル以上の全てのトンネルにはすべて火災検知器が装備される。9年前のゴットハルトトンネルの火災事故で11人の死者を出したスイスも安全対策を強化している。『南ドイツ新聞』(5月27日付)が報じた。

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全ドイツ自動車クラブ(ADAC)によると、欧州全体のトンネル安全対策投資額は今後9年間で約70億ユーロに達する見通し。警報・安全装置を製造する独シーメンスやスウェーデンのSecuritonは受注の大幅増加を見込んでいる。

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シーメンスはトンネル内の温度上昇を検知する光ファイバーケーブルを開発。スイス市場でシェア70%を握る。

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トンネルの天井に引かれた同ケーブルの中の光の流れは温度によって変化する。モニターに映し出された赤い光の流れは通常フラット模様を描くが、温度が上昇するとジグザグ状に変わり、消火装置が作動する仕組みだ。温度はケーブル1メートルごとに観測され、モニター上のデータは15秒ごとに更新される。

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トンネル安全装置の受注競争は激しいが、シーメンスのような空調、照明技術にも強い企業や建設業界と長期のビジネス関係がある企業は有利な立場にある。また、品質だけでなく価格やメンテナンスのしやすさも受注獲得のカギを握るという。

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