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2010/6/2

企業情報

Magna International Inc.―Karmannのルーフシステム買収が不許可に―

この記事の要約

独連邦カルテル庁は5月26日、カナダ・オーストリア系の自動車部品大手Magnaが独子会社Magna Car Top Systems GmbHを通して倒産した独Karmannのカブリオレ用ルーフシステム部門を買収する計画を […]

独連邦カルテル庁は5月26日、カナダ・オーストリア系の自動車部品大手Magnaが独子会社Magna Car Top Systems GmbHを通して倒産した独Karmannのカブリオレ用ルーフシステム部門を買収する計画を却下したと発表した。買収を認めると欧州の同ルーフシステム市場にはMagnaとWebasto-Edschaの2社しか存在しなくなり、適正な競争が行われなくなると判断した。これにより、Karmannの管財人は同部門の新たな売却先を模索することになる。

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欧州の当該市場には昨年までMagna、Karmann、Webasto、Edschaの4社が存在していた。このうちWebastoは今年1月1日付でEdschaを買収し、新子会社Webasto-Edschaに統合した。連邦カルテル庁はこの買収を承認した際、業界の企業数がさらに減ると市場競争が歪められる恐れがあると指摘。Magnaによる今回の買収計画に当初から難色を示していた。

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同庁のアンドレアス・ムント長官はプレスリリースで、2社の寡占体制が成立すれば、「そのつけは値上がりの形で最終的に消費者が支払うことになる」と述べ、買収申請却下の正当性を強調した。また、Karmannのカブリオレ用ルーフシステム部門に対しては他の企業が複数、関心を示しているとして、今回の決定が同部門の消滅につながることはないとの認識を表明した。

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27日付『ハンデルスブラット』紙によると、Karmannの同部門に対してはスペインの自動車部品メーカーCIE Automotiveが関心を持っているもようだ。CIE Automotiveは同部門の競売入札に参加したものの、Karmannの取引先であるBMWとDaimlerが否定的な立場を示したため早い段階で脱落した経緯がある。

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Magnaによる同部門の買収計画に対しては、Karmannの地元ニーダーザクセン州のヴルフ首相が支持を表明してきた。同首相は今後、連邦経済相に対し大臣権限に基づく特別買収許可を下すよう働きかけるほか、カルテル庁の決定取り消しを求めて裁判を起こすことも検討する意向だ。

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