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2010/6/30

経済産業情報

蛍光色素で偽造防止、独研究所が開発

この記事の要約

フラウンホーファー応用重合体研究所(IAP)が製品の偽造・模造を防止する新たな手法を開発した。樹脂などの原料に複数の蛍光色素を混入して製品を成形するもので、素材に合わせて色素の種類を変えるため、非常に高い精度で真贋を確認 […]

フラウンホーファー応用重合体研究所(IAP)が製品の偽造・模造を防止する新たな手法を開発した。樹脂などの原料に複数の蛍光色素を混入して製品を成形するもので、素材に合わせて色素の種類を変えるため、非常に高い精度で真贋を確認できる。また、蛍光体を材料全体に練り込むため「認証部分をはがす」「取り外す」といったことが実質的に不可能になる。

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蛍光色素は特定の波長の光の照射を受けると蛍光発光してそのエネルギーを放出する有機化合物。蛍光発光の波長や強さは色素自体の構造のほか、色素が混入している素材の水素イオン指数(pH)や粘度といった物理的・化学的な特性によっても大きく変化する。IAPによると、ある種の蛍光色素は網目構造が粗い樹脂より密な樹脂に混入したほうが強い蛍光を発するという。

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材質の特徴に合わせて複数の蛍光色素を組み合わせることによって、それぞれの材料に固有の認証マーカーを組み込むことができる。また、材質の変化によって発光の具合が変わる蛍光色素を混ぜることで、厳密な品質管理も可能になる。さらに、素材に含まれる蛍光色素の濃度は数ppb(=十億分の1)とごく微量のため、製品から蛍光色素の量や種類を同定することは「ほぼ不可能」(IAP研究員)という。

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有機発光ダイオード(OLED)の封止膜と太陽電池を使った試験では実用性が確認されており、市場投入は「基本的に可能」だ。ただ、高い偽造防止効果を実現するには、原料の性質に合わせてその都度混入する色素を選定する必要があるため、受注から納品までに時間がかかる。

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