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2011/5/25

経済産業情報

EUのナノ物質定義めぐり化学業界が懸念

この記事の要約

欧州連合(EU)の欧州委員会が年内にもナノ物質の法的定義を定める方針を打ち出したことを受け、化学業界に懸念が広がっている。「定義が広範囲に及ぶほど、関連規制も複雑多岐になり、これに伴う検査・登録などの業務が増大する」(独 […]

欧州連合(EU)の欧州委員会が年内にもナノ物質の法的定義を定める方針を打ち出したことを受け、化学業界に懸念が広がっている。「定義が広範囲に及ぶほど、関連規制も複雑多岐になり、これに伴う検査・登録などの業務が増大する」(独化学工業会)ためだ。17日付『ハンデルスブラット』が報じた。

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欧州委が提案する定義は「製品の全粒子に占めるナノ物質の数が1%以上」というもの。これに対し、化学業界は「製品重量の10%以上をナノ物質が占める」との定義を要求しており、両者の隔たりは大きい。欧州委の定義案に従うとチョークやカラー印刷物、プリント生地などもナノ物質扱いになるという。定義をめぐる綱引きは欧州委の健康・環境政策担当者と産業政策担当者の間でも繰り広げられている。

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ナノ粒子はすでに自動車の塗料や化粧品、食品など生活の幅広い分野で使用されており、その数は増加傾向にある。一方で、欧州委が発表した世論調査「ユーロバロメーター」の結果によると、ドイツ国民の約半数がナノテクノロジーの安全性に不安を持っている。

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