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2014/5/21

経済産業情報

「新受信料は合憲」、州憲法裁が小売大手の訴え棄却

この記事の要約

2013年1月に導入された現行の受信料徴収制度は違憲だとしてドラッグストア大手のロスマンが提訴していた係争でBayerン州憲法裁判所は15日、訴えを棄却する判決を下した。判決理由で裁判官は、新受信料は基本権を侵害せず、ま […]

2013年1月に導入された現行の受信料徴収制度は違憲だとしてドラッグストア大手のロスマンが提訴していた係争でBayerン州憲法裁判所は15日、訴えを棄却する判決を下した。判決理由で裁判官は、新受信料は基本権を侵害せず、また原告の主張と異なり税にも当たらないとの判断を示した。ラインラント・ファルツ州憲法裁判所も同様の判決を13日に下しており、同制度に対する企業の訴訟はこれまでのところ成功していない。ロスマンは連邦憲法裁判所への上告を検討する。

受信料の課金対象は2012年まで、テレビやラジオなどの放送受信機器を持つ世帯や企業に限られていた。また、各世帯・企業が保有する受信機の数に応じて受信料の額が決定されていた。だが、受信機器がないと主張して納入を拒否する市民が多いほか、各世帯・企業が保有する受信機すべてを捕捉することが事実上不可能であることから、国内16州は13年から新ルールを導入。テレビやラジオの有無にかかわらず全世帯、企業、自治体の施設から受信料を徴収するようにした。

受信料は各世帯で1カ月当たり一律17.98ユーロ。企業の場合は事業所数と各事業所の従業員数、および保有する車両数によって異なっており、企業規模が大きいほど負担が重くなる。

このルールは多数の店舗を展開する小売チェーンに不利に働くことから、複数の小売大手がそれぞれ裁判を起こしている。ロスマンは国内の店舗数が約1,750カ所、従業員数が2万6,000人に上っており、受信料負担は12年の3万9,500ユーロから13年には約30万ユーロへと急増した。大手スーパーREWEでも33万ユーロから150万ユーロ膨らんでいる。

ロスマンは店舗にテレビとラジオがまったくないにもかかわらず受信料を納めなければならないのは不当だとして提訴したが、認められなかった。