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2014/8/6

ゲシェフトフューラーの豆知識

企業の競争法違反、経営者にも法的責任か?

この記事の要約

企業が競争法に違反した場合、経営者にも法的な責任が発生するのだろうか。この問題をめぐる係争で、通常裁判の最高裁である連邦司法裁判所(BGH)が6月に判決(訴訟番号:I ZR 214/12)を下したので、ここで取り上げてみ […]

企業が競争法に違反した場合、経営者にも法的な責任が発生するのだろうか。この問題をめぐる係争で、通常裁判の最高裁である連邦司法裁判所(BGH)が6月に判決(訴訟番号:I ZR 214/12)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判は天然ガス販売会社e社から消費者向けガス供給契約の販売を請け負ったR社と、R社の社長を相手取ってe社の競合企業が起こしたもの。R社は2009年、e社の委託を受けてガス供給契約の訪問販売を実施した。その際、販売員は競争法(不当競争禁止法=UWG=)違反の疑いがある行為を行ったため、原告企業はR社と、R社の社長を提訴した。

下級審のベルリン州労働裁判所はこの係争で、UWG違反を認定しR社に損害賠償の支払いを命じたものの、R社の社長については損賠支払いの義務がないとの判断を示した。

最終審のBGHはこの判決を支持。判決理由で裁判官は、企業が競争法に違反しても経営者が法的責任を負うのは(1)違法行為に自ら関与していた(2)何らかの具体的な義務を無視した――のどちらかに該当する場合に限られると指摘。事業に対する経営者の一般的な(具体性のない)責任から競争法違反行為を阻止する法的義務があったと結論を導き出すことはできない、との判断を示した。