欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/5/12

西欧

シーメンスがロールスロイスのエネ部門買収、三菱重工とは製鉄機械で合弁

この記事の要約

独電機大手シーメンスは6日、英エンジニアリング大手ロールス・ロイス・ホールディングス・グループ(RR)のエネルギー部門を買収することで合意したと発表した。同時に発表した組織再編計画の一環で、RRのガスタービン、コンプレッ […]

独電機大手シーメンスは6日、英エンジニアリング大手ロールス・ロイス・ホールディングス・グループ(RR)のエネルギー部門を買収することで合意したと発表した。同時に発表した組織再編計画の一環で、RRのガスタービン、コンプレッサー事業を約9億5,000万ユーロで取得する。さらに同日には、三菱重工業と製鉄機械の合弁会社を設立することも明らかにした。

組織再編では、これまでの4部門(セクター)16事業(ディビジョン)体制を廃止。電力、オートメーション、デジタル化を軸に事業を整理し、新年度が始まる10月1日から9事業体制に切り替える。これによって、2016年9月期までに年間コストを10億ユーロ追加削減し、収益力の強化を図る。

シーメンスは2008年、レッシャー社長(当時)がエネルギー、産業、医療機器、インフラ・都市の4部門からなる体制を打ち立てた。だが、これといった成果は上がらず、同社長は昨年、辞任に追い込まれた。

後任のケーザー社長は昨夏の就任直後から組織再編を検討。電力、オートメーション、デジタル化を軸に事業の見直しを進め、成長分野を特定した。RRのエネルギー部門買収には、手薄だった小型・分散型発電事業を強化する狙いがある。

医療機器は中核事業から外れた。今後は同事業を独立させる。また、以前から周辺事業扱いとなっていた補聴器を新規株式公開(IPO)する方針だ。

組織再編の一環として電力部門を統括してきたミヒャエル・ジュス取締役は6日付で辞任した。洋上風力発電用送電線の北海敷設が大幅に遅延したほか、市場が成長している小型・分散型発電設備事業を軽視してきたことの責任を取らされた格好。後任には石油大手ロイヤル・ダッチ・シェルのリサ・デービス上級副社長が8月1日付で就任する。デービス氏のシーメンス取締役就任後、同社は火力発電、風力・再生可能エネルギー、発電所サービス事業の統括拠点を独エアランゲンから米国に移管する。

三菱重工業とは、同社の子会社である三菱日立製鉄機械とシーメンスの製鉄機械事業を統合し、2015年1月をめどに合弁会社を英国に設立する。出資比率は三菱日立製鉄機械が51%、シーメンスが49%となる。新会社の名称や資本金は未定。2020年に売上高で4,000億円を目指す。

三菱日立製鉄機械は連続鋳造、熱・冷間圧延、条鋼圧延から、最下流となる連続焼鈍・亜鉛めっき設備までの製品を手がけている。シーメンスとの合弁により、最上流の高炉・電炉設備が加わり、全製鉄プロセスでの製品供給能力が高まる。

合弁会社は東京、広島、オーストリアのリンツ、独エアランゲン、米ピッツバーグ、中上海、インドのムンバイの6カ所に地域拠点を置き、全世界をカバーする。従業員数は約9,000人を予定する。