欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/5/19

西欧

ポルトガル、金融支援から脱却

この記事の要約

ポルトガルに対するEUと国際通貨基金(IMF)からの金融支援が17日に終了した。債務危機後に国際金融支援から脱却したのはアイルランド、スペインに次ぐ3カ国目。残る被支援国はギリシャとキプロスの2カ国となった。 債務危機に […]

ポルトガルに対するEUと国際通貨基金(IMF)からの金融支援が17日に終了した。債務危機後に国際金融支援から脱却したのはアイルランド、スペインに次ぐ3カ国目。残る被支援国はギリシャとキプロスの2カ国となった。

債務危機に陥ったポルトガルは、2011年4月にEUとIMFから総額780億ユーロの金融支援を取り付け、その後は消費税や付加価値税の引き上げ、公務員の削減などの財政再建に取り組んできた。財政改善と景気の回復を受け、4月末には3年ぶりに国債の入札を再開し、7億5,000万ユーロの調達に成功。12年前半に17%を超えていた10年物国債の利回りは現在3%台で推移している。コエリョ首相は今月4日、アイルランドと同様に、自力での資金調達が難しくなる場合に備えた非常時の信用枠設定をEUとIMFに求めない形での金融支援からの「完全脱却」を宣言。ユーロ圏財務相会合は5日にこれを承認した。

ポルトガルではGDP成長率が今年はプラスに転換し、財政赤字の対GDP比も15年に目標の3%を下回る見通し。ただ、若年層を中心とした高失業率が依然として深刻な上、ユーロ高などの不安要素もあり、15年の総選挙を控えて現政権が取り組むべき課題は多い。

債務危機で金融支援を受けていたユーロ圏の国では、アイルランドが昨年12月に支援を脱却し、自力で資金調達している。スペインでも国内銀行の救済のため受けていた支援が1月に終了した。