2011/8/10

ルーマニア・ブルガリア・その他南東欧・トルコ

トルコ中銀、予想外の利下げ

この記事の要約

トルコ中央銀行は4日、政策金利である7日物レポ金利を0.5ポイント引き下げ、5.75%に設定した。米国やユーロ圏の債務危機による経済成長の鈍化を食い止める狙い。経済過熱の懸念が存在するだけに、市場関係者は利下げを驚きをも […]

トルコ中央銀行は4日、政策金利である7日物レポ金利を0.5ポイント引き下げ、5.75%に設定した。米国やユーロ圏の債務危機による経済成長の鈍化を食い止める狙い。経済過熱の懸念が存在するだけに、市場関係者は利下げを驚きをもって受け止めている。新しい金利は、2002年にインフレ目標を設定して以来、最低の水準だ。

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中銀は7月28日、欧州債務危機が景気に悪影響を及ぼすようであれば金融緩和を実施するとの立場を示していた。トルコ経済は今年上半期に前年同期比11%と順調な成長を確保したが、中銀によると、その後は減速気味という。

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中銀の決定に対し、米モルガンスタンレーは、利下げでインフレ目標の達成や経常赤字抑制が難しくなる可能性を示唆。ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)では、景気過熱が懸念される中の利下げで、投資家が中央銀行の信頼性を疑い始めるかもしれないとコメントしている。

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中銀はまた、翌日物借入金利を1.5%から5%に引き上げた。一方で翌日物貸出金利は9%に据え置き、為替相場変動幅を狭めた。これは、市場関係者も予想した動きだった。

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借入金利の引き上げは、低金利の通貨を借りて、高金利の通貨で運用するキャリー取引で、トルコリラが投資対象としての魅力を増すことにつながる。

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なお、世界景気の先行き不透明感が増す中、自国経済への影響を懸念しているのはトルコ中銀に限らない。日本銀行は円高ドル安を食い止めるために円売り・ドル買い介入に踏み切り、スイス国立銀行もフラン高を受けて金融緩和策を実施している。

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