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2010/2/24

経済産業情報

出張宿泊費、朝食は再び「込み」扱いの方向

この記事の要約

年明けに施行されたホテル宿泊料金の減税措置の見直し作業を連邦財務省が進めている。朝食料金が減税対象に含まれなかったことで、法人客にとって出張コストの経理処理が煩雑になったことに加え、面倒を嫌った出張社員がホテルで朝食を頼 […]

年明けに施行されたホテル宿泊料金の減税措置の見直し作業を連邦財務省が進めている。朝食料金が減税対象に含まれなかったことで、法人客にとって出張コストの経理処理が煩雑になったことに加え、面倒を嫌った出張社員がホテルで朝食を頼まないケースが増えるなど、減税の思わぬ弊害が広がっているため。『ファイナンシャル・タイムズ(FTD、ドイツ版)』によると、財務省は朝食代と宿泊代を一括して取り扱えるようにする方向で作業を進めている。

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メルケル連立政権は今年1月、景気の悪化で稼働率低下に苦しむホテルの負担を軽減するため、宿泊サービスにかかる付加価値税(VAT)の税率を19%から7%に引き下げた。その際、朝食代の税率を19%に据え置いたため大きな混乱が生じている。

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減税前は部屋代と朝食代を込みにした料金で領収書が発行されることが普通だったため、ホテルを利用した企業はこのうち4.8ユーロを朝食代とみなして経理処理すればよかった。しかし、税率が異なればそれぞれを別個に処理せざるを得ないため、経理の手間が増える。加えて、実際のホテルの朝食代が4.8ユーロで収まることはまずなく、領収書に「朝食バイキング15ユーロ」と書かれていれば社員は全額を負担させられる。会社が朝食代を負担した場合でも「給与に相当する利益供与」として一部が課税対象になる。

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こうした面倒を避けるためホテルでの朝食サービスを最初から断り、近所のパン屋で食事を済ませる人が増えている。朝の食堂ルームはガラガラの状態という。

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メディア報道によると、財務省は朝食サービスのVAT税率を19%にとどめる一方で、「諸サービス込宿泊料」という項目を新設し、ここに朝食を含める形で対応するもようだ。独商工会議所連合会(DIHK)は同方針を歓迎している。

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