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2010/6/16

経済産業情報

メガネレンズ5社のカルテルで課徴金

この記事の要約

ドイツ連邦カルテル庁は10日、メガネレンズ大手5社が独市場で違法なカルテルを結んでいたとして、5社とその社員7人、および業界団体ZVA(メガネレンズ中央連盟)に対し総額1億1,500万ユーロの課徴金支払いを命じると発表し […]

ドイツ連邦カルテル庁は10日、メガネレンズ大手5社が独市場で違法なカルテルを結んでいたとして、5社とその社員7人、および業界団体ZVA(メガネレンズ中央連盟)に対し総額1億1,500万ユーロの課徴金支払いを命じると発表した。課徴金の額は同国メガネ業界で過去最大。カルテル庁のアンドレアス・ムント長官は、カルテルの影響で市場競争が長年にわたってほとんど機能しない状況となり、最終消費者が被害を受けたと述べ、厳しく弾劾した。

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カルテルに関与していた企業はRodenstock GmbH、Carl Zeiss Vision GmbH、Essilor GmbH、Rupp+Hubrach Optik GmbHおよびHOYAの独子会社HOYA LENS DEUTSCHLAND GMBH(HODG)の5社。5社は市場における既存の勢力関係を保つため2000年半ば以降、定期的に会合を開き、希望小売価格や顧客の眼鏡店への割引・販売奨励金などについて額を取り決めていたほか、値上げなどの計画を相互に事前通告していた。

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メディア報道によると、独国内の眼鏡店は1万1,000店で、価格交渉力の強いFielmann、Apolloなど大手のチェーン店はそのうち1,000店にとどまる。カルテルに参加していた5社の市場シェアは合わせて約90%に達しており、談合を通して価格を強く統制していたもようだ。

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カルテル庁は業界内部からの通報を受けて捜査を開始。08年に関与企業などへの立ち入り調査を実施して書類を押収し、容疑の裏付け作業を進めてきた。課徴金総額の内訳は明らかにされていないが、容疑の解明に全面的に協力したRodenstockは大幅に減額され、捜査の過程で協力したHODGとCarl Zeiss Vision、ZVAも引き下げられた。

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HOYAは11日付プレスリリースで、「本件を厳粛に受け止め、独禁法をはじめとするコンプライアンスの一層の強化に、HOYAグループを挙げて取り組んで参ります」との声明を出すとともに、「HODGの主張がドイツ連邦カルテル庁による決定に一部反映されたこと等を総合的に勘案し、一部については応諾することとし、一部については、当局の認定した事実ならびに法的解釈を争う」との方針を明らかにした。

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