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2011/6/29

経済産業情報

「ソーラー助成よりインフラ整備が優先」=RWI研究所

この記事の要約

ライン・ヴェストファーレン経済研究所(RWI)のクリストフ・シュミット所長は日曜紙『ヴェルト・アム・ゾンターク』のインタビューで、再生可能エネルギー、特に太陽光発電に対する助成措置を今後数年間、停止し、普及を抑制すること […]

ライン・ヴェストファーレン経済研究所(RWI)のクリストフ・シュミット所長は日曜紙『ヴェルト・アム・ゾンターク』のインタビューで、再生可能エネルギー、特に太陽光発電に対する助成措置を今後数年間、停止し、普及を抑制することすることが望ましいとの見解を表明した。送電・供給網整備の遅れに加え、電力需給の調整役となる蓄電装置の容量が大きく不足しており、このままでは再可エネの拡大に対応できなくなるのは時間の問題だと指摘。エコ発電能力の拡大よりも送電インフラなどの整備を優先すべきだと明言した。

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独ソーラー産業連盟(BSW)によると、国内ソーラー発電設備の総発電能力は2010年に7.4ギガワットとなり、1年前の2倍以上に増加した。2020年には52~70ギガワットに拡大する見通し。ドイツ国内の電力需要を賄うために必要な発電能力はおよそ60ギガワットのため、理論上はソーラー発電だけで国内需要を賄える計算だ。

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ただ、ソーラーは天候や時間帯によって発電量が大きく変動する。日照時間の長い真夏の晴天時には国内需要を全てカバーできるほどの発電が可能な一方、冬季や夜間は稼働しない。ソーラーが稼働できないシーズン・時間帯の電力需要は他の電力源でカバーする必要があり、こうした「発電施設の二重化」は莫大なコスト負担になるとシュミット所長は懸念を示す。

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また、政府が7月の成立を目指す再生可能エネルギー法(EEG)改正案では電力の過剰供給時に優先(あるいは停止)する再可エネの種類が規定されていない。このため、出力の平滑化が比較的容易という理由で、ソーラー発電に比べてはるかにコストが安い洋上風力発電を一時的にストップして発電量を調整する可能性が高い。これはさらなるコスト負担につながるという。

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