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2011/6/29

経済産業情報

「値上げやむなし」、宅配便大手がコスト吸収できず

この記事の要約

宅配業界に料金値上げの動きが広まっている。独『ヴェルト』紙が独宅配便大手4社(DHL、Hermes、DPD、GLS)の社長への取材などをもとに報じた。\ GLSは昨年4月、コスト増を理由に法人向けの小包料金を引き上げた。 […]

宅配業界に料金値上げの動きが広まっている。独『ヴェルト』紙が独宅配便大手4社(DHL、Hermes、DPD、GLS)の社長への取材などをもとに報じた。

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GLSは昨年4月、コスト増を理由に法人向けの小包料金を引き上げた。値上げの影響で同年の国内小包取扱量の伸びは競合を大きく下回ったものの、営業利益率(税引き前利益ベース)は8%で業界トップを達成したという。同社は今年4月にも法人向け小包の値上げを行っており、リコ・バック社長は「今後もコストが増加すれば顧客に転嫁せざるを得ないだろう」とコメントした。

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競合のDPDも今年第1四半期に料金を引き上げた。Hermesは値上げを検討中だ。DHLは個人向小包で料金を据え置くものの、契約毎に条件の異なる大口顧客向けでは料金を随時、見直しており、平均4%程度の値上げを行っているという。

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値上げの背景には、環境規制強化に伴う低公害型車両への投資や燃料価格・高速道路料金の上昇といった輸送関連のコスト増に加え、◇留守宅の増加で再配達が増えている◇処理能力拡大・サービス改善に向けた設備投資が必要になっている――といった事情がある。

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不在宅は個人向け宅配サービスで大きな問題となっている。ある調査によると、小包配達時の不在率は70%に上り、持ち戻しと再配達が効率悪化とコスト上昇を招いている。個人向け宅配市場でシェアの大部分を占めるDHLとHermesの2社はこのため、携帯メールによる配達予告や受け取り側による配達日時指定サービス、無人小包受け渡しステーションの設置(DHL)やサービスセンターでの受け取り(Hermes)など、再配達を減らす様々な対策を打ち出している。

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