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2011/6/29

経済産業情報

携帯電話の電磁波、高強度で学習能力に影響=ボーフム大

この記事の要約

ボーフム大学医学部のノーラ・プロチノフ博士を中心とする研究チームはこのほど、携帯電話の電磁波が生体の学習能力に影響を及ぼすとの研究結果を発表した。学習能力に低下がみられたのは高強度の電磁波にさらされた個体群で、ラットのス […]

ボーフム大学医学部のノーラ・プロチノフ博士を中心とする研究チームはこのほど、携帯電話の電磁波が生体の学習能力に影響を及ぼすとの研究結果を発表した。学習能力に低下がみられたのは高強度の電磁波にさらされた個体群で、ラットのストレスの有無には無関係だったという。スマートフォンやデジタル家電などエレクトロニクス機器の普及に伴い電磁波にさらされる機会が増えており、議論を呼びそうだ。

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周波数が特に高い電磁波(マイクロ波)については、生体にもたらす作用として「刺激作用」「熱作用」「非熱作用」の3種類があるとされる。ただ、これらが生体に及ぼす影響の有無についてはこれまでのところ科学的・疫学的に結論が出ていない。また、学習能力に影響があるとする先行研究についても、影響が出た原因が電磁波にあるのか、普段の生活環境とはほど遠い人工的な環境下でのストレスにあるのかが明確になっていなかった。

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ボーフム大とブッパータール大の研究チームはこうした事情を踏まえ、電磁波とストレスの影響を分けられるよう実験を工夫した。ラットを曝露群(電磁曝露装置で電波曝露を受ける)、偽曝露群(電磁曝露装置に入れるが、電磁曝露を受けない)、対照群(実験期間中、通常の飼育ケージ内で飼育し続ける)に分けて、曝露群には第3世代移動通信(UMTS)で使われる1.92ギガヘルツ(GHz)~2.17GHzの高周波電磁波を、低強度(比吸収率2W/kg)と高強度(同10W/kg)で45分、曝露。グループ間の学習能力を比較するとともに、曝露直後のストレスホルモンの量を調べた。

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この結果、曝露群と偽曝露群はともに、電磁曝露装置に入れられたことによってストレスホルモンの量が増加し、学習能力にほぼ同程度の影響が出たことが確認された。一方、高曝露ラットの学習能力は偽曝露ラットと低曝露ラットに比べて明らかに低かったことから、高強度の電磁波がラットの学習能力に影響を与えることが確認された。

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今回の研究結果はPLoS ONE(オンライン版)で閲覧できる。

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