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2014/7/30

経済産業情報

シェフラーの中国合弁で情報流出=メディア報道

この記事の要約

ベアリング大手シェフラーの中国合弁会社で技術情報の流出が繰り返し起きているにもかかわらず、ドイツ本社は調査や対策を怠っている――。『南ドイツ新聞(SZ)』が2つの事例を挙げて28日付で報じた。 1つは自動車大手フォルクス […]

ベアリング大手シェフラーの中国合弁会社で技術情報の流出が繰り返し起きているにもかかわらず、ドイツ本社は調査や対策を怠っている――。『南ドイツ新聞(SZ)』が2つの事例を挙げて28日付で報じた。

1つは自動車大手フォルクスワーゲン(VW)向けにシェフラー子会社のLuKが開発したダブルクラッチ・トランスミッションをめぐってだ。同紙によると、現地自動車メーカー比亜迪(BYD)のモデルに同トランスミッションが使われていることが2012年末に発覚した。シェフラーはSZ紙に対し、この件でVWの問い合わせを受けた事実を認めたものの、「このトランスミッションは市場で自由に入手でき、従業員ならだれでも模倣きる」として問題視していないとの立場を示した。だが、シェフラーの技術者は同紙に対し、BYDが搭載したトランスミッションはLuKが開発したトランスミッションの重要書類を利用しなければ作製できないほど精巧だったと述べている。技術流出があったとの見方だ。

この件に関しては中国人社員がデータを自分のパソコンに送信していたことが13年半ばに発覚。この社員はその直後に辞職したという。

もう1つの事例は、13年下半期に起きた。保守作業の名目で休業となった開発センターにドイツ人社員がぶらりと出向いたところ、誰もいないはずのサーバー室で複数の中国人があくせく作業している場面に出くわした。ドイツ本社はこの件について連絡を受けたが、処分を下さなかったもようで、逆に現場を見たドイツ人社員が数カ月後に解雇されたという。現地合弁では外国人がドイツ本社と行う情報のやり取りを中国サイドの役員が監視しているとの社員情報がある。