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2014/10/29

経済産業情報

インダストリー4.0でシーメンスとテレコムが共同プロジェクト

この記事の要約

情報通信技術(ICT)を活用して製造工程のネットワーク化を推進する、インダストリー4.0のパイロットプロジェクトを電機大手のシーメンスと電気通信大手のドイツテレコムが共同で実施する。両社役員への取材をもとに27日付『ハン […]

情報通信技術(ICT)を活用して製造工程のネットワーク化を推進する、インダストリー4.0のパイロットプロジェクトを電機大手のシーメンスと電気通信大手のドイツテレコムが共同で実施する。両社役員への取材をもとに27日付『ハンデルスブラット』紙が報じたもので、インダストリー4.0の実現に向けた課題を明確化するとともに解決策を模索。同分野で最先端を走るドイツの追撃に乗り出した米国や中国を振り切り、主導的な地位を維持する狙いだ。

インダストリー4.0は政府主導の官民プロジェクトで、モノづくり大国としてのドイツの競争力を大幅に高めることを目標としている。ドイツはこの分野で他国に先んじているものの、ビッグデータで圧倒的な強みを持つ米国のIT企業が急速に追い上げ、ドイツ勢を追い抜く懸念が出ている。

シーメンスとドイツテレコムはそうした事態が起こらないようにするため、共同プロジェクトを立ち上げた。ミュンヘンにあるシーメンスの研究開発拠点とカールスルーエ工場、ニュルンベルク工場をネットで接続し、生産計画の速やかな変更などが行えるようにする。将来的にはサプライヤーもプロセスに組み込み必要な部品を必要な時に供給できる体制を構築する意向だ。シーメンスはソフトウエアを担当する。

プロジェクトではインダストリー4.0を実現するうえでの問題点を明らかにし、解決策を模索。ドイツテレコムは半導体大手インフィニオンのセキュリティチップを用いて、データのやり取りやクラウド上のデータをハッカーや産業スパイがアクセスできないようにする。ドイツテレコム子会社Tシステムズのハーゲン・リッケマン取締役(販売担当)は「外部の誰かがハッキングしたり生産を完全に停止させたりできるようではインダストリー4.0はおしまいだ」と述べ、セキュリティ確保の重要性を強調した。

両社は同プロジェクトをまず3年間、実施することで合意した。来春の情報通信技術見本市Cebitで中間報告を行う予定だ。