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2014/10/29

ゲシェフトフューラーの豆知識

高齢労働者を有給休暇日数で優遇、不当な差別に当たるか

この記事の要約

社員の年齢に応じて待遇に区別を設けることは、そうした措置が適切で、正当な目的にかなっている限り許容される。これは一般平等待遇法(AGG)10条に規定されたルールである。では、高齢社員の年次有給休暇日数を若い社員よりも多く […]

社員の年齢に応じて待遇に区別を設けることは、そうした措置が適切で、正当な目的にかなっている限り許容される。これは一般平等待遇法(AGG)10条に規定されたルールである。では、高齢社員の年次有給休暇日数を若い社員よりも多くすることは同規定に合致しているのだろうか。この問題に関する係争で雇用問題の最高裁である連邦労働裁判所(BAG)が21日に判決を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判は労使協定の拘束を受けない靴メーカーの社員が同社を相手取って起こしたもの。同社の有給休暇日数は年34日だが、58歳以上の社員では同36日となっていた。原告社員はこの社内ルールがAGGで禁じられた年齢差別に当たるとして、58歳未満の社員にも36日の有給休暇を与えるよう求めて提訴した。

1、2審は原告の訴えを棄却し、最終審のBAGも下級審判決を支持した。判決理由で裁判官は、「製靴作業は肉体的な負担が大きく58歳以上の社員はそれ以下の社員よりも長い休暇が必要だ」とする被告企業の判断は、経営者の裁量を逸脱していないと指摘。また、製靴産業の労使協定(同社には適用されない)でも58歳以上の有給休暇日数を2日多くしている事実を挙げ、被告企業の措置は適切だとの見解を示した。