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2014/11/19

総合 - ドイツ経済ニュース

「アベノミクスは失敗した」、日本の景気後退入りで懸念高まる

この記事の要約

日本経済が景気後退局面(2四半期以上続くマイナス成長)に入ったというニュースはドイツでも大きな関心を呼んでいる。財政再建に向けて安倍政権が打ち出した経済政策(アベノミクス)の行き詰まりと受け止められているためで、メディア […]

日本経済が景気後退局面(2四半期以上続くマイナス成長)に入ったというニュースはドイツでも大きな関心を呼んでいる。財政再建に向けて安倍政権が打ち出した経済政策(アベノミクス)の行き詰まりと受け止められているためで、メディアでは一時沈静化していた日本の財政破たんを懸念する論調が再び強まってきた。

内閣府が17日発表した7-9月期の国内総生産(GDP)は前期比で実質0.4%減少し、4-6月期(同1.9%減)に引き続きマイナス成長となった。4月の消費税率引き上げの影響が予想以上に大きいことが明らかになった格好で、安倍首相は来年10月に予定していた10%への税率引き上げを1年半先の2017年4月に先送りする方針を打ち出した。

日本は歳入のおよそ半分を借金で賄っており、債務が急速に増加している。累積債務の対GDP比率は約240%と極めて高く、財政を早急に健全化しなければ財政破たんが避けられないというのがエコノミストの主流意見だ。

4月の消費税引き上げは財政再建の今後を占ううえで重要な取り組みとみなされてきた。このため同増税の結果、景気が大きく冷え込んでいることは、増税を通した財政再建を日本が推し進められないと受け止められている。消費税引き上げの先延ばしは財政赤字拡大の加速につながることも懸念材料だ。

独高級紙『フランクフルター・アルゲマイネ』は18日付の論説記事で「アベノミクスは失敗した」と断定。安倍首相が打ち出した解散総選挙についても、野党が混迷している現状を利用して、アベノミクスが限界にぶち当たったことを悟られる前に国民の支持を取り付けるための隠ぺい策だと指摘した。

また、安倍政権がこの2年間実施してきた政策は紙幣の増刷と財政赤字を通した景気のテコ入れだけで、公約の構造改革は実行されていないと批判した。その証拠の一例として、輸出型の大手企業は円安で利益を増やしたにもかかわらず、日本国内で生産能力拡大に向けた投資をほとんど行っていないことを挙げた。

独立系調査会社ハイ・フリークエンシー・エコノミクスのチーフストラテジストは『ヴェルト』紙に、「日本は長期的にみて、社会の高齢化とそれに起因する経済の縮小、およびこれに並行する財政赤字の拡大からなる負のスパイラルから抜け出せない」と指摘。「日本は経済的にみて崩壊に直面している」と言い切った。また、仏銀ソシエテ・ジェネラルのストラテジストは、「全世界はユーロとドルの関係に注目しているが、市場に甚大な影響を与えるのは円だ」と述べ、日本が深刻な経済危機に陥れば日本のデフレが西洋に飛び火すると警鐘を鳴らした。