従業員の代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)には報酬スシステムを雇用主と共同で決定する権利がある。これは事業所体制法(BetrVG)87条1項10に定められたルールである(2014年11月12日号を参照)。では、報酬システムに従って実際に給与や手当が支払われているかどうかを確認するために、事業所委は給与リストの閲覧を雇用主に要求することもできるのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が1月に決定(訴訟番号:1 ABR 54/12)を下したので、ここで取り上げてみる。
裁判はハノーバーにある神経外科病院の事業所委員会が雇用主を相手どって起こしたもの。事業所委は給与や各種手当が労使協定などに従って支給されているかを確認するため、給与リストを閲覧させるよう雇用主に要求した。これに対し雇用主は、従業員の約半数が同委による閲覧に反対しているとして受け入れを拒否したことから、裁判となった。
事業所委は1、2審で勝訴。最終審のBAGも下級審決定を支持した。決定理由で裁判官は、事業所委は業務の遂行に必要な書類の提出を雇用主に対しいつでも要求できるとしたBetrVG80条2項第2文の規定を指摘。同第2文には、事業所委の権利として給与リストの閲覧が明記されていると言い渡した。