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2014/11/19

経済産業情報

CO2から燃料・化学品生産へ、16年にも実用化か

この記事の要約

二酸化炭素(CO2)からガソリンや軽油、各種の化学品を生産する技術の商業化に、ドイツの民間企業や研究機関が出資する合弁会社、サンファイアーが取り組んでいる。現在はパイロットプロジェクトにとどまるものの、2016年には実用 […]

二酸化炭素(CO2)からガソリンや軽油、各種の化学品を生産する技術の商業化に、ドイツの民間企業や研究機関が出資する合弁会社、サンファイアーが取り組んでいる。現在はパイロットプロジェクトにとどまるものの、2016年には実用化にこぎ着けたい考えだ。実現すれば、温暖化防止に大きく寄与するほか、石油資源の利用を大幅に削減できる可能性がある。日刊紙『ヴェルト』が12日付で報じた。

CO2と水からまず合成ガスを作り出したうえで、液体炭化水素に転換する。1925年に開発されたフィッシャー・トロプシュ法を利用しており、原理面で新しい点はない。

ただ、同製造法は莫大なエネルギーが必要な一方で、生産される液体炭化水素の量が少ないという問題があり、これまで実用化されていなかった。サンファイアーではこの問題を高温水蒸気電解技術で解決。エネルギー効率を70%引き上げることに成功した。

パイロット設備では現在、1日当たり1バレル(159リットル)の燃料を生産している。同施設は簡単に大型化できるように設計されており、将来的には月産1,500トン体制を構築する意向だ。

同技術で生産された燃料はCO2の排出量が少なく、自動車では85%削減できる。製造コストは約1ユーロと高いものの、大幅な課税減免措置を受けられるため、市販可能という。

サンファイアーにはビルフィンガー(建設)、バッテンフォール(エネルギー)、ルフトハンザドイツ航空といった企業のほか、フラウンホーファー協会、ユーリヒ研究センターなどが出資。連邦研究省も補助金640万ユーロを出している。