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2015/1/14

経済産業情報

イランとドイツの貿易が急拡大、制裁緩和が追い風に

この記事の要約

イランとドイツの貿易取引が活発化している。イランのアリ・マジェディ駐独大使(元駐日大使)が『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に明らかにしたもので、両国間の2014年1~10月の貿易高は約25億ユーロに達し、前年同期を3 […]

イランとドイツの貿易取引が活発化している。イランのアリ・マジェディ駐独大使(元駐日大使)が『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に明らかにしたもので、両国間の2014年1~10月の貿易高は約25億ユーロに達し、前年同期を30%以上上回った。イランへの制裁緩和が追い風となっている。同大使は「ドイツ企業がイランに大型プロジェクトを輸出すれば、貿易高はすぐに60億ユーロを突破する」と述べ、ドイツとの取引拡大に意欲を示した。

イランは核開発問題を受けて国連などの国際的な制裁を受けている。だが2013年11月、国連安保理常任理事国にドイツを加えた6カ国との協議で、ウラン濃縮活動を制限する見返りとして経済制裁を一部緩和するとの合意が成立。これが追い風となりドイツとの貿易が拡大している。

マジェディ大使はドイツ企業にとって特に重要なイランのプロジェクトとして、石油化学、産油、発電、再生可能エネルギー、自動車生産の5分野を指摘した。石化分野ではメタノールからプロピレンを製造する大型プラントを設置する計画で、西側の企業とライセンス交渉に乗り出している。同国はメタノールから付加価値の高い化学品を生産して経済力を高めたい考えだ。

石油・天然ガスの採掘では国外企業との間でサービス契約を結び、産出量に応じたコミッションを支払う考えだ。

同大使はこのほか、アゼルバイジャン産天然ガスを欧州に輸出する「トランスアナトリア・パイプライン(TANAP)」の19年稼働を見据え、イラン産の天然ガスも将来的に同パイプラインを利用して欧州に輸出する考えを明らかにした。同パイプラインの輸送能力にゆとりがあるため、イラン産の輸送も可能だとしている。