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2015/1/14

経済産業情報

市民のイスラム嫌悪強まる、仏テロ事件でさらに悪化の懸念

この記事の要約

イスラム教に脅威を感じるドイツ市民が増えていることが、ベルテルスマン財団が8日発表したレポート(リリジョンモニター)で明らかになった。一部の過激なイスラム教徒の活動がイスラム教全体のイメージを悪化させていることが背景にあ […]

イスラム教に脅威を感じるドイツ市民が増えていることが、ベルテルスマン財団が8日発表したレポート(リリジョンモニター)で明らかになった。一部の過激なイスラム教徒の活動がイスラム教全体のイメージを悪化させていることが背景にある。7日にはイスラム風刺を行った仏週刊紙「シャルリー・エブド」の本社で編集長ら12人が武装グループに銃で殺害される事件が起きており、イスラム教に対する市民の嫌悪感は一段と高まる懸念がある。

リリジョンモニターはベルテルスマン財団の委託を受けて調査会社TNSエムニドが作成したもので、市民アンケート調査は2014年11月末に行われた。それによると、「イスラム教に脅威を感じる」市民(イスラム教徒を除く)は57%に上り、12年の53%から4ポイント増加した。同回答は特に東部地域で高く、テューリンゲン、ザクセン両州では70%に達している。年齢別では55歳以上の層で最も高く61%を記録。25歳未満では39%にとどまった。

「イスラム教は西欧に合致しない」との回答も52%から61%に増加した。また、「イスラム教徒が増えたため、ドイツにいるにもかかわらず自分を外国人のように感じる」市民は40%に上った。「イスラム教徒の流入を禁止すべきだ」も24%と少なくない。

こうした市民感情を追い風に、「西欧のイスラム化に反対する愛国的欧州人(PEGIDA)」と名乗る運動が急成長。独東部のドレスデンで月曜日に実施する定例デモには毎週、1万人以上が参加している。政府や有力政治家、有識者は憂慮を表明し、マスコミも批判的な報道を行っているものの、PEGIDAの勢いに陰りは出ていない。

フランスのテロ事件を受け、ドイツのデメジエール内相は7日、声明を発表。同様のテロがドイツで計画されている具体的な兆候は現時点でないとしながらも、状況は深刻だと述べ市民に注意を呼びかけた。警察労組のライナー・ヴェント委員長によると、PEGIDAのデモはイスラムテロの標的になる恐れがあるという。