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2015/2/11

総合 - ドイツ経済ニュース

輸出・輸入・貿易黒字で記録更新

この記事の要約

ドイツ連邦統計局が9日発表した2014年の輸出高(暫定値)は前年比3.7%増の1兆1,336億ユーロとなり、12年に記録した過去最高(1兆958ユーロ)を更新した。輸入高(同)も2.0%増えて過去最高の9,165億ユーロ […]

ドイツ連邦統計局が9日発表した2014年の輸出高(暫定値)は前年比3.7%増の1兆1,336億ユーロとなり、12年に記録した過去最高(1兆958ユーロ)を更新した。輸入高(同)も2.0%増えて過去最高の9,165億ユーロを記録。輸出の伸び率が輸入を上回ったため、貿易黒字は11.3%増の2,170億ユーロと大きく拡大し、過去最高となった。

経常黒字も13.8%増の2,153億ユーロと2ケタ台の伸びを記録した(グラフ①を参照)。貿易黒字が伸びたほか、サービス収支の赤字幅が480億ユーロから417億ユーロに縮小したことが大きい。所得収支(国外への出稼ぎによる報酬の受取や国外からの利子・配当金などの収支)は684億ユーロの黒字だったものの、黒字幅は前年の727億ユーロから5.9%減少した。

輸出を仕向け先地域別でみると、伸び率が最も大きかったのは欧州連合(EU)のユーロ非加盟国向けで、前年比10.2%増の2,431億ユーロに拡大した。これらの国への輸出は近年、増加率が高く、輸出総額に占める割合は12年の19%から14年は21%へと拡大した。(グラフ②を参照)

ユーロ圏向けの輸出高は2.7%増の4,142億ユーロ、EU域外向けは同1.5%増の4,762億ユーロだった。輸出総額に占めるユーロ向けの割合は37%で、前年と同水準を保ったものの、11年の40%からは3ポイント縮小している。

EU域外向けの割合は前年の43%から42%に低下した。対ロシア制裁で同国向けが大きく落ち込んだほか、新興諸国の景気低迷も響いたもようだ。中国の14年の輸入成長率は0.4%にとどまっており、ドイツの同国向け輸出は低迷した可能性がある。

輸入を地域別でみると、ここでもEUのユーロ非加盟国からの伸び率が最も大きく6.6%を記録。規模は1,885億ユーロに上った。ユーロ圏からは2.3%増の4,114億ユーロで、EU域外からは0.9%減の3,166億ユーロに縮小した。

ドイツの14年国内総生産(GDP)統計をみると、GDPの3分の2を占める個人消費が実質1.1%増と堅調で全体をけん引。企業投資も増加へと転じGDP成長率1.5%に対する内需の寄与度は1.1ポイントに達しており、経済が内需主導で拡大したことが分かる。

それにもかかわらず貿易黒字と経常黒字が膨らんだ。背景には欧州中央銀行(ECB)の金融緩和政策を受けてユーロ安が進んでいることがある。

ECBは昨年9月、重要政策金利をそれまでの0.15%から過去最低の0.05%に引き下げたほか、民間金融機関が手元資金をECBに預け入れる際の金利(中銀預金金利)のマイナス幅を0.1%から0.2%に拡大。また、銀行が持つ融資債権を証券化した資産担保証券(ABS)と担保付き債券(カバードボンド)の買い入れも決定した。今年3月にはユーロ参加国の国債などを買い取る量的金融緩和に初めて踏み切ることからユーロ安はさらに加速する見通しで、ドイツの輸出はさらに増えると予想される。独卸売・貿易業者連盟(BGA)は今年の輸出成長率を4%、独商工会議所連合会(DIHK)は同5%を見込む。

経常黒字が拡大したことから、同黒字の削減に向けて内需のさらなる拡大を求める欧州連合(EU)などからの圧力はこれまで以上に強まる見通しだ。

12月の輸出は10%増に

連邦統計局によると、14年12月の輸出高(暫定値)は前年同月比10.0%増の901億ユーロと大きく拡大した。EUのユーロ非加盟国向けが15.5%増加して全体をけん引。EU域外向けも10.5%増と2ケタ台の伸びとなった。ユーロ圏向けは6.3%増だった。

輸入高(同)は4.0%増の711億ユーロで、貿易収支の黒字幅は前年同月の136億ユーロから191億ユーロへと40.4%拡大。経常黒字も212億ユーロから253億ユーロへと19.3%増加した。

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