ドイツ鉄道(DB)は10日、自動発券機の防犯対策を発表した。発券機の内部にインクカートリッジを設置するというもので、これにより犯罪グループによる発券機荒らしを防止する考えだ。
DBへの取材をもとに『南ドイツ新聞』が報じたところによると、すでに摘発されたある犯行グループはまず、人目の少ない小さな駅で発券機をまるごと盗んだうえで、内部構造を分析。その後わずか数カ月で計80もの発券機から金銭を盗み取った。犯行時間はわずか数分という。
発券機荒らしは2012年から急増し、13年には560件に達した。14年は犯人が多数、逮捕されたこともあり392件に減少したものの、DBの被害額は670万ユーロに達した。犯行は特にブランデンブルク、ザクセン、ザクセン・アンハルト州およびライン・マイン地域(フランクフルトを中心とする都市圏)で目立つ。
インクカートリッジを内蔵した発券機は、外部からこじ開けたりすると消えないインクを自動噴射し、内部の紙幣に吹き付ける。これにより紙幣は金銭価値がなくなるものの、発券機荒らしを行う意味がなくなるため、犯罪防止効果を期待できる。被害額の大部分は発券機の損傷によって発生(1台当たりの設置コストは約3万ユーロ)しており、現金盗難そのものの被害額は比較的小さいという。
DBは全国にある計7,000台の発券機の半数にインクカートリッジを搭載する予定だ。投資額は数十万ユーロで、今年は1,000台に搭載する。