エネルギー大手の独RWEは2日、石油・天然ガス採掘子会社RWE Deaをロシア系投資会社レターワンに売却する手続きをすべて終了したと発表した。同取引に対しては英国政府が反対の意向を示していたが、これを無視する形で売却を強行した。
RWEは昨年3月、Deaをレターワンに売却することで合意した。ドイツ政府と欧州連合(EU)の欧州委員会は取引を承認したものの、英政府は昨秋、対ロシア制裁がレターワンないし同社のオーナーであるミハイル・フリードマン氏に将来、適用されると、Deaが英国で行う採掘事業に支障が出るとして反対の意向を示していた。
RWEとレターワンはこれを受けて1月中旬、◇レターワンは買収後数年間、Deaの英国事業を他の事業と分離して運営する◇取引成立後1年以内にレターワンないしフリードマン氏に対する制裁が発動された場合、RWEはDeaの英国事業を買い戻す――ことで合意。英国政府の意向に歩み寄った。だが、英政府は2月28日、なおも懸念を表明しDeaの英事業を第3者に売却することを要求したため、これを無視して売却手続きを終了させた。
メディア報道によると、同政府は両社の取引を禁止できないものの、レターワンから英国での採掘権をはく奪できるという。
RWEは現在、およそ310億ユーロの巨額債務を抱える。今回の売却益(51億ユーロ)でこれを圧縮する意向だ。