2011/9/7

ロシア

ロスネフチ、エクソンモービルと油田開発で広範提携

この記事の要約

ロシアの石油最大手ロスネフチと米エクソンモービルは8月30日、ロシアと米国をはじめとした広範な地域での油田開発で提携することで合意した。提携合意に同席したプーチン首相は、エクソンモービルを「信頼できる戦略的かつ良好なパー […]

ロシアの石油最大手ロスネフチと米エクソンモービルは8月30日、ロシアと米国をはじめとした広範な地域での油田開発で提携することで合意した。提携合意に同席したプーチン首相は、エクソンモービルを「信頼できる戦略的かつ良好なパートナーになる」と評価し、この提携を全面支援する政府方針を示した。プーチン首相によると、全てのインフラ整備を合わせた提携プロジェクトの総投資額は5,000億米ドルに上る見込み。

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ロスネフチとエクソンモービルは提携の一環として、ロシア北極海域のカラ海および黒海の油田開発に32億ドルの初期投資を行うほか、サンクトペテルスブルグにオフショア開発の研究設計センターを設立する。カラ海開発プロジェクトは当初、英BPとの提携で進める計画だったが、BPがロシアの合弁会社TNK-BPとの契約違反で訴えられるなどの問題を抱え、最終的に提携が解消された経緯がある。

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今回の提携により、エクソンモービルは世界有数の産油国であるロシアからの調達ルートを確保できる。一方、ロスネフチにもエクソンモービルのテキサス州のタイトオイル(シェールガスと同じ手法で採掘される原油)油田やメキシコ湾の深海油田などの開発プロジェクトへの参加利権が約束されている。

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■BPモスクワ事務所に立ち入り捜査

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一方、英石油メジャーBPのモスクワ事務所では、裁判所職員による立ち入り捜査が行われた。BPは、ロスネフチとの提携解消によりTNK-BP が事業損失を被ったとして、その少数株主から30億ドル相当の損害賠償を請求されており、この問題を担当するシベリアの仲裁裁判所が捜査を指示した。現地英字紙『モスクワ・タイムズ』が通信社『インターファックス』の情報として伝えた。

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捜査の目的は、BPがロスネフチとの提携交渉についてTNK-BP役員会への説明責任を怠ったとする原告側の主張の証拠となる重要資料を確保することだった。一方、BPは捜査には法的根拠がないとして、裁判所が捜査命令を出したことに抗議する構えだ。ロスネフチが米エクソンモービルと広範な開発提携を発表した矢先に捜査が入ったことから、BPは大きなビジネスチャンスを逃しただけでなく、ロシアでの政治的な支援も失ったと見る向きがある。

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TNK-BPの資本50%を握るロシアの投資家グループAARも、スウェーデンの仲裁機関を通じてBPに50~100億ドル規模の損害賠償を求めている。

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