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2010/1/20

経済産業情報

塀の中の余興

この記事の要約

ハンブルクの刑務所内で11日、刑事裁判が開かれた。ブンデスリーガの勝敗をタネに受刑者が賭けをしていたことが発覚し、検察が起訴したためである。賭けを仕切っていた被告は容疑をすべて認めており、裁判はその日のうちに結審するかに […]

ハンブルクの刑務所内で11日、刑事裁判が開かれた。ブンデスリーガの勝敗をタネに受刑者が賭けをしていたことが発覚し、検察が起訴したためである。賭けを仕切っていた被告は容疑をすべて認めており、裁判はその日のうちに結審するかにみえたが、裁判官は「事実関係が十分に分からないと判決を下せない」として本格的な証人尋問を決定した。賭けに参加した受刑者は最大35人に上っており、裁判は長期化の恐れがでてきた。

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賭けを主催していたのは詐欺や文書偽造などの常習犯である元銀行員ペーターヨーゼフ・S.(66歳)。賭け金の代わりに1枚89セントの板チョコを利用し、「ムショ仲間」に娯楽を提供していた。賭けの実施に当たっては手数料として「賭け金」となったチョコの10分の1を得ていたという。ペーターヨーゼフによると、賭けは6~7年前から行われており、刑務所内では誰もが知っていたが、これまでは禁止されていなかったとのことだ。

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彼は公判で「どうだろう。私がアル中患者あるいは賭博中毒者のために50ユーロを寄付するということで手を打てないだろうか」と発言したという。怖いものなどもはや何もないようで、裁判を楽しんでいるようにみえる。

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こうした調子に合わせるわけにいかない検察は論告求刑で、被告の行為は違法だとして罰金刑を求刑。これに対し弁護人は、違法行為とは思えないとして無罪を主張した。あとは判決を待つのみとなったが、裁判官はどういう判断を下したらよいか自信がなかった。裁判長席で頭を抱えたうえで、証人尋問の実施を決定した。

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これを受け被告のペーターヨーゼフは「おれはこの場に40人もの人を呼び寄せることができるのか」と喜んだとのこと。「裁判劇」を演じ続ければ、退屈しなくて済むということだろうか。

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