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2010/1/20

経済産業情報

アッセの核廃棄物、近郊の最終保管施設に移管

この記事の要約

核廃棄物のずさんな管理体制が発覚したニーダーザクセン州のアッセ核廃棄物貯蔵施設(Asse II)について、同施設を管理する連邦放射線防護庁(BfS)は15日、施設内の核廃棄物を近郊にある核廃棄物の最終保管施設「シャハト・ […]

核廃棄物のずさんな管理体制が発覚したニーダーザクセン州のアッセ核廃棄物貯蔵施設(Asse II)について、同施設を管理する連邦放射線防護庁(BfS)は15日、施設内の核廃棄物を近郊にある核廃棄物の最終保管施設「シャハト・コンラート」に全量移管する計画を明らかにした。レットゲン連邦環境相も同計画を支持しており、最終決定は核廃棄物の入ったドラム缶の保存状態とドラム缶の撤去・移動作業が人体に与えるリスクを精査した後に下される予定だ。

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Asse IIは岩塩鉱山跡に作られた低・中位放射性廃棄物の保管施設で、1967年に開設した。その後、78年に核燃料研究施設として再スタートするまでに、核廃棄物の入ったドラム缶12万6,000本が地下坑道に保管された。同施設はヘルムホルツ・ミュンヘン研究センター(HMGU、旧称GSF)の管理下にあったが、2008年に核廃棄物のずさんな保管体制が発覚したため、同年BfSの管理下に入った。

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AsseIIでは十数年前から立坑に水が浸入しており、現在では毎日1万2,000リットルの水が流れ込んでいる。入り込んだ水は外部に排水されているが、このまま水量が増え続けるとドラム缶を保管する坑道が水であふれ、地下水が汚染される恐れがある。また、一部のドラム缶が岩塩に埋没するなど、保管状況は劣悪だ。管理データにも不備があり、保管された核廃棄物の量や種類、放射線の強度は正確に把握されていない。

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BfSは当初、◇核廃棄物を施設内のさらに深い層へ移す◇コンクリートでコンテナごと施設を封印する――とことも検討した。ただ、施設の長期安全が確保できないことから、シャハト・コンラートへの移送が最善策と判断したという。計画遂行には10年の歳月と約25億ユーロの費用を要する見通しだ。

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