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2010/2/10

経済産業情報

石炭発電所の建設中止相次ぐ、将来は電力不足の恐れも

この記事の要約

大型石炭発電所の建設プロジェクトが中止に追い込まれるケースがドイツで増えている。1日には仏エネルギー大手GDFスエズが北西部シュターデで計画していた建設を取りやめた。エーオンやEnBW、バッテンフォール(スウェーデン)、 […]

大型石炭発電所の建設プロジェクトが中止に追い込まれるケースがドイツで増えている。1日には仏エネルギー大手GDFスエズが北西部シュターデで計画していた建設を取りやめた。エーオンやEnBW、バッテンフォール(スウェーデン)、Dong Energy(デンマーク)など他の大手エネルギー企業もすでに同様の計画を断念しており、この1年間で中止となったプロジェクトはこれで7件に達した。環境悪化を懸念する地元住民や環境団体の反対のほか、採算がとれないことも計画中止の原因になっているという。独経済紙『ハンデルスブラット』紙が4日付で報じた。

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石炭発電所は初期投資額が大きいため、長期にわたる安定した運転によって初めて採算が取れる。だが、ドイツでは太陽光発電や風力発電など天候によって発電量が大きく変わる再生可能エネルギーが拡大しており、これらの発電量が一時的に急増したときに、石炭発電所はこれまでのようにフル稼働できなくなる恐れがある。

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発電所の建設コストや石炭価格の上昇も問題だ。石炭発電は二酸化炭素(CO2)の排出量が多いため、CO2排出枠の購入コストもかさむ。さらに、政府の計画通りに既存原発の稼働期間が延長されると、これまでの建設計画を見直す必要も出てくる。

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一方、政府系のエネルギー研究機関Denaは、「2020年までに石炭発電所15基の発電能力に相当する1万2,000~1万3,000メガワット(MW)が不足する恐れがある」として、石炭発電所の建設の相次ぐ中止を懸念している。Denaによると、建設中、または建設がほぼ確実な石炭発電所は現在、5基にすぎない。政府も「今後20年間はエネルギーミックス(バランスの取れたエネルギー源の組み合わせ)から石炭を排除することはできない」として、効率の高い最新式の石炭発電所の建設を支持している。

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