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2010/3/24

企業情報

Ratiopharm GmbH―後発薬世界最大手Tevaが買収へ―

この記事の要約

富豪メルクレ家の資産管理会社VEMは18日、傘下の後発医薬品会社Ratiopharmの競売入札で、同業界の世界最大手メーカーであるイスラエルのTevaが落札したと発表した。取引金額は36億2,500万ユーロ。メルクレ家は […]

富豪メルクレ家の資産管理会社VEMは18日、傘下の後発医薬品会社Ratiopharmの競売入札で、同業界の世界最大手メーカーであるイスラエルのTevaが落札したと発表した。取引金額は36億2,500万ユーロ。メルクレ家は売却益を株式投機で膨らんだ債務の返済に充てる。

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Ratiopharmは2009年の売上高が16億ユーロ、営業利益(EBITDA)が3億700万ユーロ。欧州とカナダ市場に強く、独後発薬市場では2位の地位をStadaと争っている。独市場の最大手はNovartis傘下のHexal。

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Tevaはアジアと米国市場に強い。このためRatiopharmとは事業の補完性が高く、シナジー効果は今後3年で年3億ユーロを超えるとみている。世界2位の規模を持つドイツ市場ではシェアを従来の5%未満から一気に拡大する。

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買収手続きは欧州独禁当局の承認を経て第3四半期に終了する見通し。買収が実現するとTevaの従業員数は5,500人増の4万人に拡大し、売上高は162億ユーロに達する。同社は世界売上高を2015年までに312億ユーロに倍増、欧州売上高も3倍の92億ユーロに伸ばす計画だ。

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入札の最終選考には医薬品世界最大手の米Pfizerとアイスランドの後発薬大手Actavisも残っていた。Tevaが選ばれたのはRatiopharmの生産拠点をすべて維持することを確約したことが大きいもようだ。メディア報道によると、Tevaは自社工場の生産の一部をRatiopharmの工場に移管するほか、欧州事業の統括拠点も蘭アムステルダムからRatiopharmの本社所在地ウルムに移すことを検討しているという。

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