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2010/7/21

経済産業情報

オンライン信書サービスをドイツポストが開始

この記事の要約

ドイツポストは14日、オンライン信書・ハイブリッドメールサービス「E-Postbrief」を開始した。パソコンで作成した文書をインターネットを介して引き受け、法的拘束力のある電子メール、あるいは印刷・封入した上で信書とし […]

ドイツポストは14日、オンライン信書・ハイブリッドメールサービス「E-Postbrief」を開始した。パソコンで作成した文書をインターネットを介して引き受け、法的拘束力のある電子メール、あるいは印刷・封入した上で信書として相手に送るというもので、縮小が続く郵便サービス事業の新たな収益源として期待されている。ただ、競合企業も参入するため新たな競争が予想される。

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従来の電子メールには、◇伝達経路上で第三者に傍受・改ざんされる恐れがある(機密性が低い)◇送信側を特定できない、あるいは送信側の情報を偽ることができる(スパムメール)◇受取人に届くとは限らない(信頼性が低い)――などの理由から、電子商取引など一部の例外を除き法的拘束力がない。一方、郵便は◇(誤配を除けば)確実に受取人まで配達され(信頼性が高い)◇通信の秘密によって配達経路上で第三者に開封されることはない(機密性が高い)半面、相手に届くまでに時間がかかるという難点がある。オンライン信書は、相互認証や暗号化技術などの採用で高いセキュリティを実現、電子メールの利便性・スピード性と信書の信頼性・機密性という長所を併せ持つ新たなサービスだ。

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E-Postbriefの利用には登録が必要で、ユーザーは専用のサイト(epost.de)でアカウントを取得後、本人確認の手続きを経てサービスを利用できる。

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文書の配達方法は、E-Postbriefの利用者同士であれば暗号化されたメールとして送信する(電子配達)。相手がE-Postbriefのアカウントを持たない場合は、ドイツポストが印刷、封入・封館したうえで普通郵便として配達する(ハイブリッドメール)。料金はいずれも55セント(VAT込)からで変わらない。ただ、郵便として送る場合は印刷枚数やカラー・白黒印刷などの違いによって料金が異なる。

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オンライン信書やハイブリッドメールサービスをめぐる業界の競争は急速に活発化しており、インターネットプロバイダー大手United Internet傘下のフリーメール部門Web.deとGMXは今月初め、それぞれの顧客を対象にハイセキュリティメールサービス「de-Mail」の登録受付を開始。ハイブリッドメールについては民間郵便事業者と提携し一足先にサービスを開始した。

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de-Mailは行政機関と市民がやりとりする電子メールのセキュリティを高めるために政府とドイツテレコムが共同開発したシステムで、ドイツテレコムも登録の受付を開始した。同サービは市民ポータル法案の施行が実施の前提となっており、2011年初頭のスタートが見込まれている。

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