欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2012/1/25

ゲシェフトフューラーの豆知識

解雇待ちの被用者にも特別手当を支給する義務は?

この記事の要約

解雇通告を受けて解雇日を待つばかりとなった被用者を特別手当の支給対象から除外することは果して法的に認められるのだろうか――。この問題をめぐる係争がドイツであり、最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が18日に判決(訴訟番号:1 […]

解雇通告を受けて解雇日を待つばかりとなった被用者を特別手当の支給対象から除外することは果して法的に認められるのだろうか――。この問題をめぐる係争がドイツであり、最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が18日に判決(訴訟番号:10 AZR 667/10)した。

\

裁判を起こしたのは被告企業から2009年12月末日付で解雇された女性社員。解雇通知書の日付は11月23日となっていた。

\

同社はクリスマス手当を社員に12月1日に支給した。その際、すでに解雇を通告していた原告には支給をしなかった。「特別手当の支給の時点で雇用関係の終了が決まっている被用者には手当の請求権がない」との取り決めが労働契約に盛り込まれていたからである。

\

原告はこれを不当として提訴し、手当の支給を要求。第1、第2審の裁判官はこの訴えを認める判決を下した。

\

一方、最終審のBAGは下級審判決を破棄した。判決理由で裁判官は、特別手当が労働に対する報酬であるならば被告企業は原告に対し支給する義務があると指摘。そのうえで、支給時点で雇用関係の終了が決まっていないことだけを支給の条件とした被告企業のルールは労働に対する報酬支払いを義務づけた民法典611条の基本精神に反しないとの判断を示した。労使契約が雇用主の側から解除されたことは問題でないとしている。

\