欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2012/6/6

経済産業情報

ドイツ初の中堅企業社債格付け発表

この記事の要約

信用格付け会社のScope Group(ベルリン)は5月29日、中堅企業の社債を対象としたドイツ初の格付を発表した。シュツットガルト、フランクフルト、デュッセルドルフの各証券取引所で社債が売買されている中堅企業が対象で、 […]

信用格付け会社のScope Group(ベルリン)は5月29日、中堅企業の社債を対象としたドイツ初の格付を発表した。シュツットガルト、フランクフルト、デュッセルドルフの各証券取引所で社債が売買されている中堅企業が対象で、今回発表となった17社のうち最も評価が高かったのはSiC Processing GmbHのトリプルBマイナス(BBB-)、最も低かったのはAir BerlinのトリプルCマイナス(CCC-)だった。Aランクの評価を得た企業はなかった。

\

中堅企業の社債は利回りが高いため近年、機関投資家の関心を集めているが、発行企業の信用力を判断する目安となる中立的な指標はこれまでなかった。Scopeはこうした事情を踏まえ、シュツットガルト証取の中堅企業社債取引市場(bondm Stuttgart)、フランクフルト証取のエントリー・スタンダード市場、デュッセルドルフ証取の中堅企業市場で社債が取り扱われている企業を対象とした格付け調査に着手。2011年決算の資産・収益などに基づいて評価をはじき出した。あくまで財務の健全性を測ることが目的のため、信用リスクの総合的な判断に必要な事業計画、従業員管理などの項目は含まれていない。

\

Scopeの担当者によると、◇11年決算が(まだ)公表されていない◇過去の(他機関による)格付けの根拠が不明瞭――などの理由から、格付け作業が完了したのは3市場で社債が売買されている45社のうち17社にとどまった。

\

また、中堅企業は◇取引先の絶対数が少ない◇事業の多角化がそれほど進んでいない――などの理由から、大手企業に比べ格付け評価が低くなりやすい。この点について同担当者は、「中堅企業向けに最適化させた新たな格付けシステムの導入は投資家を混乱させるだけ」と指摘、大手企業と同一の指標で判断することで信用力評価の透明性が維持できるとの考えを示した。

\