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2013/12/18

総合 - ドイツ経済ニュース

域内派遣労働者の権利強化へ、EU加盟国が指令案で合意

この記事の要約

欧州連合(EU)加盟国は9日開いた雇用・社会政策担当相理事会で、EU加盟国から域内の他の国に一時的に派遣される労働者の権利保護を目的とした「海外労働者派遣指令の実施に関する指令案」の内容で基本合意した。欧州議会とEU閣僚 […]

欧州連合(EU)加盟国は9日開いた雇用・社会政策担当相理事会で、EU加盟国から域内の他の国に一時的に派遣される労働者の権利保護を目的とした「海外労働者派遣指令の実施に関する指令案」の内容で基本合意した。欧州議会とEU閣僚理事会の正式な承認を経て、新指令が導入される。

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欧州委員会によると、EU市場では年間に約100万人の労働者が一時的に域内の他の国に派遣されており、建設業が約4分の1を占めている。EUでは1996年に「サービス提供の枠組における労働者の海外派遣に関する指令(以下、海外労働者派遣指令)」が施行され、国境を越えて派遣される労働者に現地労働者と平等な待遇を受ける権利を保障することや、派遣元の企業に受入国の法律が定める労働条件(最低賃金、勤務時間、有給休暇など)の適用を義務づけるなどのルールを定めている。しかし、実際にはEU条約が保障するサービス提供の自由を根拠に、受入国の基準が適用されていないケースも多く、とりわけ建設業界でこうした傾向がみられる。

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実施指令案は加盟国間の人の移動や域内の他の国でのサービス提供の自由を阻害することなく、国境を超えて派遣される労働者に対する保護を適正に実施することを目的に、欧州委が作成した。労働者および派遣業者の権利と義務の周知、各国の監督機関による連携強化、ペーパーカンパニーを利用した規制回避の防止、監督機関の責任と規制手段などを柱とする内容になっている。指令案にはこのほか、新たに「連帯責任」の原則を導入し、他のEU加盟国の元請業者と下請契約を結んだ派遣元の建設業者が、派遣した労働者に対して受入国の最低基準以下の賃金しか支払っていない場合、元請業者に差額分の補填を義務付けるルールなどが盛り込まれている。

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