派遣社員の派遣期間は一時的でなければならない。これは2011年12月1日付で改正された労働者派遣法(AUEG)1条1項第2文に記されたルールである。では、派遣期間が長期化した場合はどうなるのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が10日に判決を下したので、ここで取り上げてみる。
\裁判は西南ドイツの公立病院に2008年から11年にかけて派遣されていたIT技術者が同病院(被告1)と同病院が設立した派遣会社(被告2)を相手取って起こしたもの。同技術者は派遣期間が3年を超えたことから、AUEG1条1項第2文の規定に違反しているとして被告1との間に雇用関係を認めるよう要求し、提訴した。
\原告は2審で勝訴したものの、最終審のBAGは逆転敗訴を言い渡した。判決理由で裁判官はまず、派遣社員と派遣先企業との間に雇用関係が発生するのはAUEG10条1項第1文の規定に基づき、派遣会社と派遣社員の労使契約が無効だった場合に限られると指摘。派遣期間が長期化しても、現行法では派遣社員と派遣先企業との間に雇用関係は発生しないとの判断を示した。
\AUEG1条1項第2文で派遣期間が一時的でなければならないとされている点については、同規定が欧州連合(EU)指令2008/104/ECを国内法に転換したものである説明したうえで、派遣期間が長期化した場合の制裁措置については加盟国が自由に決定できると指摘。制裁内容については様々な可能性(派遣社員と派遣先企業との間に雇用関係が発生するというのもその1つ)があり、その決定は立法府が行うものであり、裁判では決定できないとの判断を示した。
\AUEG1条1項第2文に記された「(派遣期間の)一時的」という語については具体的な年月の長さについて判断を示さなかった。17日に成立した第3次メルケル政権は、派遣期間を最大18カ月に制限する方針を打ち出している。
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