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2013/12/18

ゲシェフトフューラーの豆知識

妊婦の解雇は女性差別、慰謝料支払いを最高裁が命令

この記事の要約

妊娠中および出産後4カ月以内の被用者を解雇することはできない。これは母性保護法(MuSchG)9条1項に明記された決まりである。では、MuSchGで解雇から守られている被用者を解雇することは、一般平等待遇法(AGG)で禁 […]

妊娠中および出産後4カ月以内の被用者を解雇することはできない。これは母性保護法(MuSchG)9条1項に明記された決まりである。では、MuSchGで解雇から守られている被用者を解雇することは、一般平等待遇法(AGG)で禁じられた女性差別に当たり慰謝料請求の対象となるのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が12日に判決(訴訟番号:8 AZR 838/12)を下したので、ここで取り上げてみる。

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裁判は小企業の女性社員が同社を相手取って起こしたもの。同社員は妊娠中の2011年7月初旬、医師の判断により就労を禁止された。妊婦と胎児の生命ないし健康に危険がある場合は妊婦を就労させてはならないとするMuSchG3条1項に基づく措置である。14日になって子宮内胎児死亡が確認されたため、翌15日に除去手術を行うことになった。

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同社員はこの事実を14日に雇用主に伝えたうえで、術後に健康を取り戻せば就労禁止が解除されることも伝達した。これに対し雇用主は同日、解雇予告期間を設定した通常解雇を通告した。原告はこれがAGGで禁じられた女性差別に当たるとして提訴。AGG15条2項の規定に基づき、慰謝料を請求した。

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原告は2審のザクセン州労働裁判所で勝訴。最終審のBAGも同判決を支持し、慰謝料3,000ユーロの支払いを被告企業に命じた。判決理由で裁判官は、母性保護法の規定に反して妊婦に解雇を通告することはAGGで禁じられた女性差別に該当するとの判断を示した。

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