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2014/3/26

総合 - ドイツ経済ニュース

最低賃金の例外少なく=法原案

この記事の要約

ドイツのアンドレア・ナーレス連邦労働相は19日、最低賃金の導入に向けた法原案を関連省庁に送付した。同原案を入手したメディアの報道によると、例外はほとんど認めない方向で、全国のすべての業界に適用する。政府は4月2日の閣議で […]

ドイツのアンドレア・ナーレス連邦労働相は19日、最低賃金の導入に向けた法原案を関連省庁に送付した。同原案を入手したメディアの報道によると、例外はほとんど認めない方向で、全国のすべての業界に適用する。政府は4月2日の閣議で法案を了承し、2015年1月1日付で施行する計画だ。

ドイツには全国・全業界一律の最低賃金が存在しない。労働条件は労使が政治の介入を排して自主的に結ぶ協定を通して定める制度、「労使協定の自律(Tarifautonomie)」が深く根づいているためで、法定賃金はこの制度に抵触するとみなされてきた。

だが、経済競争力の強化に向けて2000年代の前半に行われた構造改革(アジェンダ2010)の副作用として低賃金セクターで働く被用者が増えたことで状況が変化した。構造改革は熟練技能を持たない長期失業者が労働市場に足がかりを得るという点では一定の効果があったものの、フルタイムで働いても生活に必要な収入を稼げない就労者が発生するという問題も生み出したためだ。

与党はこうした事態を受け、昨年11月の政権協定に全国・全業界一律の最低賃金導入を盛り込み、金額を8.5ユーロ(時給)とすることや、原則として2015年初頭から適用することを取り決めた。

ナーレス労働相が作成した法原案にはさらに細かなルールが盛り込まれており、最低賃金の適用が免除される被用者を(1)職業訓練を終了していない18歳未満の者(2)名誉職の従事者(3)1年以上の長期失業者で、連邦雇用庁(BA)から賃金補助を受給している者――に限定している。(3)は賃金水準が高いと就職が難しい失業者がいることを考慮したもので、最低賃金の適用が就職後6カ月間、免除される。