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2014/11/26

総合 - ドイツ経済ニュース

シェールガスの商業採掘に道、経済界の利害を政府が配慮

この記事の要約

連邦環境省は20日、非在来型天然ガスの採掘に関する法原案を関係省庁に送付した。シェールガスの商業採掘を厳しい条件付ながらも容認する内容。バルバラ・ヘンドリックス連邦環境相とジグマール・ガブリエル連邦経済相は7月の時点でシ […]

連邦環境省は20日、非在来型天然ガスの採掘に関する法原案を関係省庁に送付した。シェールガスの商業採掘を厳しい条件付ながらも容認する内容。バルバラ・ヘンドリックス連邦環境相とジグマール・ガブリエル連邦経済相は7月の時点でシェールガスの商業採掘を少なくとも2021年まで禁止することで合意していたが、与党内の経済政策担当議員や経済界の圧力を受けて規制方針を緩和したもようだ。法案は年内に閣議決定される見通し。

頁岩(シェール)層に貯留する天然ガス(シェールガス)はフラッキングという手法で採掘される。化学物質と砂を混ぜた水を高圧で地中に注入してシェール層に割れ目(フラクチャー)を作り、内部にあるガスを抽出する。

低コストで効率よくガスを採取できるメリットがあり、同技術の利用で先行する米国ではガス価格が低下し、産業競争力が今後高まることが予想されている。ただ、地下水汚染などを引き起こすことが懸念されており、独政府は安全性を重視して21年までは禁止する方針を打ち出していた。

だが、経済界からは再生可能エネルギーの拡充政策を受けてドイツのエネルギーコストが高く、産業空洞化につながるとの批判が出ている。北米のシェール革命を受けて同地に生産拠点を構える方針の独企業も増えており、政府は経済界の利害を配慮せざるを得なくなったもようだ。早ければ2019年にもシェールガスの商業採掘がスタートできるという。