入札提示額に誤りがあったことを理由に応札を撤回することはできるのだろうか。この問題をめぐる係争で通常裁判の最高裁である連邦司法裁判所(BGH)が11日に判決(訴訟番号: X ZR 32/14)を下したので、ここで取り上げてみる。
裁判はニーダーザクセン州が実施した道路建設の入札に参加した企業を相手取って同州が起こしたもの。被告企業の入札提示額は45万5,000ユーロで最も低かった。同社は応札後、提示額の計算に誤りがあったことに気づき、応札の撤回を申し入れた同州はこれを聞き入れず、同社を道路建設事業者に選定した。
同社が道路建設を拒否したことから、州当局は入札に参加した別の事業者に建設を委託。この事業者の提示額と被告提示額の差額の支払いを求めて被告を提訴した。
ニーダーザクセン州は1、2審で敗訴。最終審のBGHも下級審判決を支持した。判決理由で裁判官は、契約先の権利、法益、利害を配慮することを契約当事者に義務づけた民法典(BGB)241条2項の規定を指摘。同州の行為はこの規定に抵触するとの判断を示した。