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2014/12/17

総合 - ドイツ経済ニュース

複数労使協定の競合回避へ、政府が法案承認

この記事の要約

1つの経営体(企業)および経営体内の各職業グループには1つの労使協定のみが適用されるとする「単一労使協定(Tarifeinheit)」の原則を義務化する法案を、ドイツ政府が11日の閣議で了承した。所属する組合に応じて賃金 […]

1つの経営体(企業)および経営体内の各職業グループには1つの労使協定のみが適用されるとする「単一労使協定(Tarifeinheit)」の原則を義務化する法案を、ドイツ政府が11日の閣議で了承した。所属する組合に応じて賃金が異なるという事態を回避することが狙い。法案は連邦議会(下院)の議決を経て来年中に施行される見通しだ。ただ、同法案に対しては基本法(憲法)で保障された「結社の自由」を侵害するとの批判があり、一部の労組は違憲訴訟を起こすと予告している。

単一労使協定の原則は戦後ドイツの安定的な労使関係の要とされてきたルールで、これにより小規模労組の乱立とストライキの多発が抑止されてきた。小規模な労組を設立しても独自の労使協定を締結できず、メリットがなかったためだ。だが、最高裁の連邦労働裁判所(BAG)は2010年、単一労使協定は結社の自由を保障する基本法9条1項の規定に反するとの判決を下し、従来の判例を変更。状況が一転した。

これを受け13年に成立した第三次メルケル政権は同原則の法制化に取り組んできた。法案には、1つの経営体内に複数の労組が存在し労使協定も競合する場合、過半数の従業員が加入する組合が締結した協定を全体に適用することが盛り込まれている。

これに対し鉄道機関士労組GDLやサービス労組Verdiは、◇最終的に多数派労組の協定しか適用されないようになれば、労使協定締結に向けて少数派労組が行うストに対し裁判所が「相当性の原則(目的を達成するためにはそれに見合った妥当な手段を用いなければならないという原則。行き過ぎた行動はこの原則に抵触する)」に反するとの判断を下すようになり、スト権が根本的に掘り崩される◇新たな組合員の獲得が難しくなる――などと批判。違憲訴訟を起こし徹底的に闘う構えだ。

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