欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2014/12/17

経済産業情報

体感インフレ率が低下、公式インフレ率を5年ぶりに下回る

この記事の要約

消費者が肌で感じるインフレ率(体感インフレ率)が公式のインフレ率を下回っている。伊銀ウニクレディトの独チーフエコノミストがロイター通信に15日明らかにしたもので、11月は公式インフレ率0.6%に対し、体感インフレ率は0. […]

消費者が肌で感じるインフレ率(体感インフレ率)が公式のインフレ率を下回っている。伊銀ウニクレディトの独チーフエコノミストがロイター通信に15日明らかにしたもので、11月は公式インフレ率0.6%に対し、体感インフレ率は0.0%となった。体感インフレ率が公式値を下回るのはリーマンショックに伴い景気が大きく冷え込んだ2009年以来で、5年ぶり。

消費者インフレ率は消費者が感覚的に抱く物価の上昇率で、食料品などこまめに買い物する商品が大きく値上がりすると、公式のインフレ率よりも高くなりやすい。ウニクレディトではこれを踏まえて、食料品や自動車燃料の比重を大きくした物価統計(体感インフレ率)を作成。連邦統計局の消費者物価統計では物価全体に占める食料品の比重が約10%、自動車燃料が同4%となっているのに対し、それぞれ27%、10%に設定している。

自動車燃料は原油価格の急速な値下がりを受けて低下、食料品も価格の上昇率が大幅に鈍化している。このため消費者は現在、物価が上昇しているとは感じていない。石油価格は今月に入ってさらに低下していることから、体感インフレ率はマイナスの領域に落ち込む可能性があるという。

公式の物価がデフレに転落する可能性は低いというのが同エコノミストの見方だ。石油価格下落の原因は世界経済の低迷でなく、原油の供給過剰にあるためで、中期的には石油の値下がりに伴う企業と消費者の支出拡大で景気が加速し、インフレ率も上昇するとみている。