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2015/1/21

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ドイツでもイスラムテロの懸念高まる

この記事の要約

フランス、ベルギーに続きドイツでもイスラムテロが行われるリスクが高まっている。独東部ドレスデンの警察当局は毎週月曜日に実施されている反イスラムデモがテロの標的になっている具体的な疑いがあるとして、19日に市内で予定されて […]

フランス、ベルギーに続きドイツでもイスラムテロが行われるリスクが高まっている。独東部ドレスデンの警察当局は毎週月曜日に実施されている反イスラムデモがテロの標的になっている具体的な疑いがあるとして、19日に市内で予定されているすべてのデモを禁止した。パリのテロ事件の影響を受けて過激思想の持主が同様の事件を起こす可能性を排除できない状況となっている。大都市の中心部、主要駅・空港、シナゴーグ(ユダヤ教会)、デモ・集会などは標的になりやすいため、注意が必要だ。

ドレスデンでは「西欧のイスラム化に反対する愛国的欧州人(PEGIDA)」と名乗る運動が昨年末から急成長し、月曜日に実施する定例デモには毎回1万人以上が参加している。PEGIDAの創設者がテロの標的となっており、19日のデモで殺害するとの予告があった。

PEGIDAはこれを受けて19日のデモを中止した。ただ来週月曜日(26日)は実施する考え。警察当局と現在、安全対策を協議しているが、イスラム過激派が同デモを対象にテロを試みようとする可能性は低くない。

ドイツにはイスラム過激派が4万3,000人以上いる。残虐行為を繰り広げる武装勢力「イスラム国」に参加するためシリア、イラクに渡航した人は550人以上おり、そのうち約200人がすでに帰国している。

警察関係者によると、要注意人物1人を24時間体制で監視するためには45人程度の要員が必要といい、警察の監視能力には限界がある。また、過激派組織と接点を持たずインターネットなどのプロパガンダを通して過激化した人物は治安当局にマークされにくいという問題もある。

一方、ドイツ企業の間では従業員にイスラム過激派がいないかどうかを調べる動きがパリの事件以前から強まっている。本社や工場がテロの対象になることが考えられるためで、自動車大手のダイムラーでは従業員28万人の氏名、住所、生年月日を米国および欧州連合(EU)がそれぞれ作成する制裁対象者リストと照合。電機大手のシーメンスは採用時と給与支給前に照合を行っている。軍需部門を抱えるエアバス・グループでは連邦内務省が従業員の身元調査を行う。

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