ドイツでは自宅で喫煙する場合、室内でなくベランダなどの屋外で吸う人が多い。壁などにたばこの臭いが染み付くのを避けるためだ。だが、ベランダでの喫煙が近所迷惑になる場合は、喫煙時間が制限される。通常裁判の最高裁である連邦司法裁判所(BGH)が16日の判決でこんな判断を下し、注目を集めている。
裁判はベルリンの西およそ100キロの小都市プレムニッツで集合住宅に住む老夫婦が、階下の住民を相手取って起こしたもの。地上階に住む被告はベランダで喫煙する習慣があり、これを苦痛に感じた2階に住む原告は屋内で吸うよう要請したが聞き入れられなかったため、提訴した。
原告は下級審で敗訴した。2審のポツダム地方裁判所は◇喫煙は賃貸契約で認められた権利である◇屋外ではすぐそばでたばこを吸われない限り間接喫煙による健康上のリスクはない――と指摘。原告と被告のベランダは3メートル離れており、原告の健康は損なわれないと言い渡した。
これに対し最終審のBGHは、賃貸契約でみとめられた借家人の喫煙の権利は大家に対する権利に過ぎず、他の住民に苦痛を与える場合は制限されると指摘。2審判決を破棄し、裁判をポツダム地裁に差し戻した。差し戻し審では両者の権利を勘案したうえで、被告がベランダで喫煙してもよい時間帯を決定することになる。