2010/4/28

CIS諸国

ウクライナ独禁当局、ビンペルとキエフスター統合に「待った」

この記事の要約

ウクライナ独禁当局は22日、3月に承認した携帯電話サービス大手ビンペルコムとキエフスターの統合について、再審査すると発表した。競合企業のアステリト(Astelit)から提出された異議申し立てを吟味する必要が生じたためで、 […]

ウクライナ独禁当局は22日、3月に承認した携帯電話サービス大手ビンペルコムとキエフスターの統合について、再審査すると発表した。競合企業のアステリト(Astelit)から提出された異議申し立てを吟味する必要が生じたためで、再審査には1カ月以上かかる見込み。ビンペルとキエフスターの両社は20日、統合が完了したと明らかにしたばかりだが、当局は審査期間中、両社に統合手続きを停止するよう求めている。

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ビンペルコムはロシアで携帯電話サービス2位、キエフスターはウクライナで同最大手。ビンペルの親会社であるロシアの複合企業アルファ・グループと、キエフスターを傘下に置くノルウェーの通信大手テレノールは昨年10月、両社のロシア、ウクライナ事業を統合させることで合意した。これまでに両国独禁当局などからの必要な承認をすべて取得、今月20日には新たな持ち株会社ビンペルコムLtdのもとに両社の株式を移管させ、統合が完了した。

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だが、アステリトは、ウクライナ当局が承認に当たり基準としたのは契約者数のみで、売上高や周波数帯のシェアが考慮されていなかったとして、再審査を求めた。ロシア日刊紙『コメルサント』によると、統合企業の各周波数帯シェアは、900メガヘルツ(MHz)で58%、1,800MHzで50%以上に達する。またアステリトはトルコの携帯電話サービス大手トルクセルと、ウクライナ政財界に大きな影響を持つ大物ビジネスマン、リナト・アフメトフ氏率いるSCMホールディングスの合弁会社。アフメトフ氏はヤヌコビッチ大統領の有力スポンサーでもあることから、同氏が影響力を行使し、強大なライバル企業の誕生に「待った」をかけたと見る向きが多い。

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ウクライナ法では、独禁当局は過去の決定について変更や撤回をすることができる。ただ、市場では「キエフスターとビンペルのウクライナ政界におけるロビー工作も相当なもの。せいぜい一部の周波数帯使用権を手放すことで終結となるのではないか」(FondsfinansのNysaether氏)など、当局が承認を撤回する可能性は非常に低いとの見方もある。ビンペルとキエフスター側では「取引は完了し、法的な問題は何もないと思う」とのコメントを出した。

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