2013/10/30

総合・マクロ

EU加盟国が対トルコ加盟交渉再開で合意、11月に新項目の交渉開始

この記事の要約

EU加盟国は22日に開いた外相理事会で、凍結状態にあるトルコとの加盟交渉を再開することで合意した。11月5日に「地域政策」に関する項目での交渉を開始する。これによって3年以上にわたる中断に終止符が打たれ、交渉が前進するこ […]

EU加盟国は22日に開いた外相理事会で、凍結状態にあるトルコとの加盟交渉を再開することで合意した。11月5日に「地域政策」に関する項目での交渉を開始する。これによって3年以上にわたる中断に終止符が打たれ、交渉が前進することになった。

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トルコとEUの加盟交渉は2005年に開始されたが、トルコがEU加盟国であるキプロス(ギリシャ系の南キプロス)の国家承認を拒否していることや、イスラム教国であるトルコの加盟にドイツ、フランスが難色を示したため、交渉は停滞。35に上る交渉項目のうち交渉開始にこぎ着けたのは13項目、完了したのは「科学・研究」の1項目だけという状態にある。新たな項目での交渉開始も2010年6月の「食の安全」が最後となっていた。

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交渉再開のきっかけとなったのは、トルコ加盟反対派の急先鋒だったフランスで昨年発足したオランド政権の方針転換。EU議長国アイルランドはフランスの態度軟化を受けて、5月末に交渉再開を打ち出した。

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これに対して独メルケル首相が、トルコ政府によるデモ隊の強制排除を激しく非難し、交渉再開に拒否権を発動する意向を表明したため、交渉再開は見送られていた。

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しかし、欧州委員会は16日発表したEU拡大に関する年次報告書で、トルコの司法改革進展や、少数民族クルド人勢力との和平交渉開始を評価。デモ隊への実力行使については非難しながらも、こうした問題はEU加盟によって解消されるとして、改めて交渉再開を勧告。外相理事会でドイツの承認を取り付け、11月5日の交渉再開が決まった。

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これによってトルコとの加盟交渉凍結は解除され、加盟手続きが進むことになったが、課題は多い。例えば、トルコがEUとの関税同盟を新規加盟国に拡大適用する協定に2005年に調印したにもかかわらず、国家承認していないキプロスへの適用を拒否し、キプロス籍の航空機と船舶の国内寄港を認めていないことから、EUは制裁措置としてモノの自由な移動、金融サービス、農業、運輸など重要8項目の交渉開始を凍結している。

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同時に加盟交渉を開始したクロアチアは11年6月に交渉が完了し、今年6月にEU加盟を果たしたが、トルコの加盟実現までの道のりは、なお険しそうだ。

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